一般会計の出納状況がわかる資料である財務省「国庫歳入歳出状況」によると、2021年度予算が2022年3月末までに払い出された額は139.3兆円だった。これは、2021年度に支出可能な予算173.4兆円の80.3%にとどまっている(本稿執筆時点での最新データ)。
その前の年の2020年度をみてみると、2021年3月末までに払い出された額は142.3兆円で、2020年度に支出可能な予算182.3兆円の78.0%だった。そして、決算を締めるまでに払い出されたのは147.6兆円で、30.8兆円が2021年度に繰り越された。3月末は、カレンダーどおりだと年度末だが、その後に出納整理期間という未決済の支出を整理する期間が残されているとはいえ、その期間に支払われる額は全体でみればわずかだから、3月末時点での執行状況で、決算がほぼ見通せるといってよい。
こうみると、2021年度も2020年度と似ており、結局のところ予算をてんこ盛りにしたが使い切れず、2年連続で数十兆円規模の繰越か不用(使わず予算執行を取りやめる)かのどちらかが生じることが見込まれる。勇ましく財政出動といいながら、使おうにも使い切れないというのが実態なのである。
特に、2021年度は、2020年度からの繰越予算が2021年度限りで失効するから、2020年度と違って翌年に繰り越せずに不用となる可能性が高い。不用となる歳出予算は、支出されないことから剰余金の増加要因となる。
予算の使い残しは財政健全化要因になる
歳入額から歳出額を差し引いた決算段階での残額を、歳計剰余金という。歳計剰余金のうち、翌年度に繰り越された歳出に充てるための財源などを除いた額を、純剰余金と呼ぶ。純剰余金のうち2分の1を下らない金額は、原則として翌々年度までに、公債や借入金の償還財源に充てなければならない、と財政法第6条で定められている。つまり、その剰余金の多くを、借金の返済に回さなければならないのである。
歳出予算を余らせて使わないことにすると剰余金が増えて、剰余金が増えることで、借金をより多く返済できる状況にある。これは当然、財政収支を改善させる。
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