値上げラッシュが「マンション住民」に与える打撃 「在宅時間」が増えたために新たなトラブルも

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●荷物の盗難や不法侵入
玄関前に置かれた荷物が盗まれてしまう。盗難目的でマンション住人ではない部外者が入り込んでくる可能性もある。

●つねに荷物があふれかえっていて大混乱となる
宅配ボックス・ロッカーなどの共用設備があらかじめ用意されているマンションもある。これまでもお中元やお歳暮などの時期は、ボックスのキャパシティを超えた荷物が集まり、つねにあふれる事態に。置き配が増えると、繁忙期以外も混乱が続いてしまうと考えられる。

●荷さばきスペースが用意されていない
宅配便の荷さばきをする場所がないのも大きな課題の1つ。また専用の駐車場もないため、宅配便のドライバーが乗ってきたトラックの置き場、駐車スペースの確保にも四苦八苦するケースも多く見られる。

●マンション共用部に荷物を置くことへの是非
そもそも、マンションの共用部分である廊下などに物品を置くのは、原則認められていない。ルール違反として反発する住人もいるようだ。そこで経産省、国交省では『置き配の現状と実施に向けたポイント』を作成した。 

同資料によると、“専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認めないものの、宅配ボックスがない場合など、例外的に共用部分への置き配を認める場合には長期間の放置や大量・乱雑な放置等により災害時の避難に支障とならないよう留意する必要がある”とまとめている。居住者の利便性と時代の流れに配慮した格好だ。

●置かれた荷物につまずいて怪我をする、破損させてしまう
子どもなどが置き配された品物を壊してしまう、また荷物につまずいて転んでしまう。

安全、安心に置き配を利用するためのルール作り

残念ながら、置き配のトラブルを解消する決定打があるとは言いがたい。しかし、安全かつ安心して置き配を利用するためには、管理組合が率先してルール作りに取り組む必要があるだろう。新たに分譲されるマンションでは、荷さばきスペースを広めに取ることも視野に入れておきたい。

宅配ボックスの空きがない場合は置き配専用のバッグを利用するのも一案だ。また長期間留守をする際には置き配を利用しないようにしたいものだ。さらに購入先のトラブル対応についても再度確認しておけばさらに安心できる。

時代や社会情勢によってマンションを取り巻く状況も大きく変わる。時勢やニーズに合わせて管理規約を見直し、場合によっては管理規約・使用細則の見直しを検討したい。個々のマンションの実情に合わせたきめ細かなルールがあってこそ、充実した暮らしが成り立つと言えるだろう。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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