値上げラッシュが「マンション住民」に与える打撃 「在宅時間」が増えたために新たなトラブルも

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またエコキュートは使用頻度が高くなる冬のシーズンに入った途端、前触れなく故障するケースも少なくない。給湯器が欠かせない時期の故障は、日常生活に不便を強いられることになる。

ところが今、世界的に給湯器の部材不足に見舞われ、入手が困難な状況が続いているのだ。コロナ禍による海外の製造工場のロックダウンなどにより発注から3、4カ月程度待たされる状況下にある。メーカーによって入手時期に多少の差はあるものの、補修用の部品についても同様の状況だ。

事態を重く見た経済産業省は昨年12月、国土交通省と連名で給湯器の安定供給への対応を関連業界に文書で要請した(『家庭用給湯器の安定供給に向けた要請を行いました』)。

これは異例の事態と言え、今後しばらくは、供給の不安定な状態が継続していくだろう。冬場はもちろん、季節を問わず給湯器の入手が難しくなると予想される。自宅のエコキュートが使用から10年以上経過している、機器から異音が聞こえてくるというケースでは、早めに交換の手配をするなどの対策が必要だ。

転倒対策も重要

エコキュートに関してはもう1つの懸念材料がある。先ほども少し触れたが、エコキュートは本体の他にお湯を貯めておくタンクを設置しなければならない。貯湯タンクは高さもあるため、地震の時などに倒れてくる恐れがある。

そのためタンクの転倒防止策として、コンクリートの土台にアンカーボルトを打ち込み、貯湯タンクとつなげてしっかりと固定しなければならない。実際、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の際、機器の設置工事の不備によるものと見られる転倒事例も発生している。

貯湯タンクの固定は必須であるが、メーカーや製品によってタンクの形状が異なる。そのため、新たな機器に交換する場合、再度確実に固定する必要がある。固定には一般的にアンカーボルトが使用されるが、このピッチ(アンカーボルト間の間隔)が変わってくる可能性が高い。場合によっては、アンカーボルトの打ち直しも視野に入れなくてはならない。

しかし、そう簡単に打ち直すことはできない。マンションの管理規約、もしくはリフォーム細則などによって床や壁などの躯体(くたい)にアンカーボルトを打ち込むのを禁じているマンションも多い。

自宅の管理組合がエコキュートの交換時のアンカーボルトの施工が禁じられていないかは必ず確認しておきたい。仮に工事の前例がない場合、マンション規約の変更など新たな手続きが必要となるためだ。

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