ワタミの不安な航海図、カリスマ創業者なき後どうなるのか
居酒屋チェーン大手、ワタミの創業者・渡邉美樹氏が2月15日、4月10日投開票の東京都知事選挙への出馬を表明した。15日付でワタミの代表取締役会長を辞任。当面は非常勤取締役最高顧問として会社には残る方針だ。
出馬に当たり、渡邉氏は会見で「政治へ経営感覚を持ち込みたい」と強調。そのうえで、「高齢者の孤独死ゼロ」「高校生の10人に1人が海外留学できるシステム」など、6本の政策の柱を発表した。同氏はワタミで介護、高齢者向け宅配弁当事業を手掛け、個人でも学校、病院経営などの事業に携わった経験がある。「どの分野も素人だからこそしがらみを断ち切れた」(渡邉氏)。
渡邉氏が政治への興味を本格的に持ったのは、2009年6月に社長を辞任し会長へ就任して以降。「政治と向き合うことで、そこにとてつもない『ありがとう』があることを実感してきた」(渡邉氏)。
「世界を代表する1300万人都市であり、唯一日本を変えられる都市」というのが、渡邉氏が都知事選を選んだ理由だ。財務諸表を理解し、経営感覚のある政治家が日本には少ない。「(経営者の経験がある)自分が出馬することで、日本の政治に与える影響も大きい。こうした流れを作る先駆けにもなれたらうれしい」とも渡邉氏は語る。
では渡邉氏なき後のワタミはどうなるか。代表権は今後桑原豊社長のみが保有する。桑原氏は00年にすかいらーくからワタミへ入社。09年、社長に就任したが、存在感が大きいとはいい切れない。