原油価格高で「株価が大きく上がる業種」はどれだ 「原油高・株高」「原油安・株安」なのは何故か

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世界的に好景気の状況では、自動車の輸出が活況となったり、荷動きが盛んになり海運業が好調になったりします。

注意すべきは、原油高が原因となった結果として株高になっているのではなく、景気回復により原油高となり、そして株高になっているのだと解釈できることです。つまり原因は景気が回復したことであり、結果が原油高と株高ということです。

一般的に、原油高によるメリット業種と言えば、保有している原油などの鉱区にかかる権益の価値が高まる鉱業各社や、石油の在庫(備蓄)評価益が高まる石油元売り・精製各社などがイメージされます。今回の統計的な分析において、上昇が大きい業種のベスト3は景気敏感株となりましたが、こうした原油高メリット業種でも株高は期待できます。

原油高→株価上昇が小さい業種

一方、原油高となった時に株価の上昇が小さい業種は、製造コストの上昇による負担が大きい電気・ガス業、食料品、水産・農林業となりました。

5月27日には東京電力など電力大手4社から、7月の電気料金の値上げが発表されました。電力会社は燃料の高騰分を自動的に電気料金に上乗せする仕組みが導入されています。しかし値上げの上限が設定されていることから価格転嫁が速やかにできないため、短期的には収益の圧迫要因になります。

特徴的なのは、今回の統計的な分析を見る限りでは、原油高のときの電気・ガス業を業種全体でみると、株価は下落するのではなく、わずかながらも上昇する傾向になっていることです。これは景気回復時に、電力・ガス需要が高まるため、メリットがあるとみた動きによるものです。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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