原油価格高で「株価が大きく上がる業種」はどれだ 「原油高・株高」「原油安・株安」なのは何故か

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図1中の四角で示した2008年の原油高・株安も、足元と似た面が多い環境であると見ることができます。同年の7月にWTIが史上最高値の145ドルをつけましたが、当時は中国、インドなどの新興国を中心とした世界的な景気拡大のなかで原油需要が高まり、価格が上昇していました。

さらに投機資金が原油などの商品市場に流れたことも原油高を加速させました。こうした物価高の環境もあり景気減速懸念が高まるなかで株価が調整していたためなのか、原油価格の上昇と株安という、「逆連動」の関係となったのです。

景気が拡大するなかで投資家の消費低迷にはつながらない程度の緩やかな原油価格の上昇であれば株高につながることもあります。ただ、ポイントとなるのは今回でいえばロシアのウクライナ侵攻による原油の供給不足、2008年では投機資金の原油市場への流入などの「特別な要因」が関係してくると、物価高から景気が減速するのではないかとの見通しを受けて株安となると捉えられることです。

長期的な原油価格は「低下」の見通し

さて、今後はどうなるのでしょうか。長期的には、原油価格は低下するとの見方が強まっています。世界的な「脱化石燃料」の流れがあるからです。

主要7カ国(G7)は5月27日まで開かれた気候・エネルギー・環境担当閣僚会合で、石炭燃料を段階的に廃止することで合意しました。さらに、石油や天然ガスなどほかの化石燃料からの脱却を目指す動きも加速していくとみられます。こうしたなかで、新たな化石燃料のインフラへの投資は抑えられています。

原油価格が上昇したにもかかわらず、世界的な原油の増産ペースが緩やかなのは、原油の掘削サービスや機械、資材などの価格が、物価高の影響で上昇しているという理由があります。さらに、今インフラへの投資をしてしまうと、将来の脱化石燃料の流れのなかで原油供給過多になるとの懸念があることも背景にあります。また、ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなかで目先の原油価格は上昇の可能性があります。

それでは、原油高の局面で株高が大きい、あるいは小さい業種にはどのようなものがあるのでしょうか。統計的な手法で探ってみました。

図2を見てみると、1円原油高となったときの株価上昇が大きい業種は、鉄鋼、自動車などの輸送用機器と海運業でした。いずれも景気動向に敏感に反応する業種です。

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