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本当に「クソどうでもいい仕事」を根絶できるか 斎藤幸平氏と考える「働く人に優しい経済」の形

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  • 斎藤 幸平 東京大学大学院准教授
  • 荒谷 大輔 江戸川大学基礎・教養教育センター教授
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斎藤:また、先ほど例としてあげた、グローバルエリートのDAO――例えば、入会金3000万円を払うと、毎日有機野菜が食べられて、最高水準の教育が得られるような排他的なコミュニティ――を防ぐためには強い規制が必要ですよね。

規制を弱めると、必然的に格差が生まれます。そして格差が生まれれば高所得者向けのDAOが必ずできる。そこにおいてはコミュ力や能力の高い人たち向けのいい食事や社会サービスが提供されるけれど、それらの力を持たない人たちは今よりもレベルの低い公共サービスを受けることになる。

この懸念は、やはり今の枠組みだと出てきてしまいます。やはり近代国家において税金や公教育などが果たしてきた役割というのは、そう簡単に否定するべきではないのではないでしょうか。

荒谷:もちろん、これまでやってきてよかったものをなくす必要はないと思います。さまざまな規制もステークホルダー間の調整といった困難を重ねてできたものだと思いますので、これまでのルールでうまくバランスがとれていたものについてまでゼロから再構築しなければならないわけではないと思います。

ただ、現行の行政手続の大部分はスマートコントラクトで代用できますし、運営の透明化も図れると思います。既得権益が壁になって自動化・民主化できずにいたところを改善する機会にはなると思います。

斎藤:私も長期的には国家をとっぱらうことには賛成ではありますけれどね。権力の空白を資本の側に有利に埋められてしまうリスクは認識する必要があります。

この議論への新たな参加者を募集します

荒谷:このプロジェクトの魅力は、いままでの問題を見つめ直した上でゼロから国家システムをデザインできるという点です。参加いただければわかると思いますが、これが楽しいんです。

さまざまな領域にわたって長い間研究が積み重ねられてきたことですが、そうした研究を参照しつつ、しがらみ抜きで理想的な社会を考える作業は非常に面白いことです。もちろん、僕がひとりで考えられる範囲はゆうに超えているので、ぜひ多くの専門家に参加いただきながら進めていけないかと考えています。

「領域横断」とか「専門間対話」とか、ここ数十年間、学術業界で謳われ続けているスローガンですが、本当に実のある議論をするためには共通の対象を持つに越したことはありません。単なる机上の議論ではなく、人々が実際に参加することで育っていくような新しい「国家」のあり方を、ぜひ一緒に議論していきませんか。

斎藤:おっしゃるとおりですね。ぜひ企画していきましょう。

(構成:梅原進吾)

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