中古価格が7倍以上に高騰、空冷ポルシェ人気の訳 4000万円以上の値段もつく、その理由を探る

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2代目の930型は、1974年に登場。エンジンは、1991ccだった初代に対し、2994ccに排気量を拡大し、ターボチャージャーも搭載。最高出力は260psを発揮し、その大パワーに対応するためにリアタイヤの幅を広げ、リアフェンダーもワイド化した。なお、この年代の911は、1970年代のスーパーカーブームにより、「930ターボ」などが日本でも大人気となったので、当時を知る世代には懐かしさを覚える人も多いだろう。

ウインズオートが展示していた、3代目にあたる1993年式の911カレラ2ターボルック カブリオレ(筆者撮影)
ウインズオートが展示していた、3代目にあたる1993年式の911カレラ2ターボルック カブリオレ(筆者撮影)

続く3代目の964型は、1989年に登場。外観は930型に似ているが、ボディ構造やサスペンションなどを一新。エンジンも排気量を3600ccまで拡大し、よりトルクフルな特性を手に入れた。

911カレラ2ターボルック カブリオレのリアビュー。価格は1980万円(筆者撮影)
911カレラ2ターボルック カブリオレのリアビュー。価格は1980万円(筆者撮影)

そして、1993年には4代目の993型が登場した。964型のフォルムを継承しつつも、フロントフェンダーやテールエンドのデザインを一新。リアフェンダーもさらに拡大され、マフラー容量の増大など排気系のアップデートも行っている。なお、1997年まで販売された993型が空冷ポルシェの最終型で、以降は水冷エンジン搭載車に移行する。

ウインズオートの展示車と価格

4600万円というプライスをつけた3代目964型、1992年式の911カレラRS(筆者撮影)
4600万円というプライスをつけた3代目964型、1992年式の911カレラRS(筆者撮影)

以上が空冷ポルシェの概要だが、今回ウインズオートが出展した車両は、それらの中でも初代901型2台、3代目964型2台の計4台だ。展示車の年式や価格(税込み)は、まず初代901型では、1973年式の「911T」が1750万円。同じ901型で、1972年式の「911S」が2800万円。また、3代目964型では、1993年式の「911カレラ2ターボルック カブリオレ」が1980万円。今回の展示車両中で最も高い1992年式の「911カレラRS」が4600万円だ。

911カレラRSのリアビュー(筆者撮影)
911カレラRSのリアビュー(筆者撮影)

いずれの車両も純正カラーに再塗装を施すなど、外観はまるで新車のような輝きだ。また、内装もシートなどがやれている感じはない。もちろん、走行するために必要な動力系などについても、空冷ポルシェの弱点といわれるオイル漏れをはじめ、各部をきっちりとレストアやメンテナンスしているため、いずれの車両も「普通に」乗ることができるそうだ。

なぜ空冷モデルの中古車価格が高騰しているのか?

911カレラRSのプライスボード(筆者撮影)

それにしても約50年前の初代、また約30年前に生産された3代目が、いずれもこれほどの高値で取引されている理由は何であろう。ウインズオートの担当者によれば、空冷ポルシェは、昔から多くの愛好家から高い支持を受けているが、近年は「とくに人気が上がっている」という。

例えば、初代901型は、前述のとおり、「911が持つ独自のフォルムを形作った原型」ともいえるモデルであり、とくに40代以上の比較的高い年齢層に人気が高いという。購入者には、「若い頃の憧れだった」とか「昔乗っていた」といったユーザーも多く、なかには仕事を引退し、「人生最後の1台」として手に入れる愛好家もいるようだ。

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