今の若者「皆の前でほめられたくない」心理の正体 「いい子症候群」にモヤモヤする上の世代の目線

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だとすれば、もう「活気のある講義」をすることなどできないのだろうか? 少なくとも、講師の質問に対してあちこちから手が挙がるような“白熱教室”になることを期待するのは難しいような気もする。

しかしそれでも、簡単に白熱教室を実現できる方法がひとつだけあるのだという。「匿名化」がそれで、多くの人が想像する以上に効果があるようなのだ。

<そのレシピはこんな感じ。
最近では、質問やコメントを簡単に送ることができるアプリがたくさんある。それを活用し、講義中に投げかけた質問にスマホで答えてもらう。適当なハンドルネームで登録していいことにすれば、匿名性は保たれる。アプリの画面を講義室のスクリーンに映し出せば、自分以外の聴講者がどんな質問をしているのかを見ることもできる。(31ページより)>

ポイントが「匿名性は保たれる」という部分にあることは想像に難くない。つまり彼らは反応したくないのではなく、目立ちたくないだけなのだ。だから、自分が自分であることを隠せれば問題はないのだ。事実、こうすると、質問やコメントがたくさん届くのだという。

「ほめ」は「圧」

金間氏は学生をほめるほうであり、モチベーションの研究者としてその効果も理解しているそうだ。単純に考えてそれは「いいこと」だと思うのだが、10年ほど前、そのことに関連して学生に怒られたことがあるらしい。

講義のあと、「先生、どうか皆の前でほめないでください」と言われたというのである。つまり本書のタイトルは、それを引用したものなのだ。タイトルに引用しているということは、直視すべき問題だということでもあるだろう。たしかに、こんなことを言われたら誰だって面食らう。ところがほかにも、大勢の前でほめたあと、急に発言量が減った学生もいたのだという。

どうやらここに重要なポイントがありそうだが、当然ながら金間氏もこのことについて検討を重ねたようだ。その結果、わかってきたのは2つの心理状態が関係していること。

まず1つ目は、自分に自信がないこととのギャップだ。

<現在の大学生の多くは、自己肯定感が低く、いわゆる能力の面において基本的に自分はダメだと思っている。その心理状態のまま人前でほめられることは、ダメな自分に対する大きなプレッシャーにつながる。つまり、ほめられることはそのまま自分への「圧」となるのだ。(33ページより)>
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