マイクロソフト、クラウド移行は「いばらの道」 ウィンドウズ、オフィス減少の穴は埋まる?
[シアトル 26日 ロイター] - 米マイクロソフト<MSFT.O>の長年の主力事業である基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」や、統合ソフトウエア「オフィス」の企業向け販売に鈍化の兆しが見えるなか、同社が進めるクラウド事業へのシフトではその穴埋めができないのではとの懸念が浮上している。
同社株は26日の第2・四半期(10─12月)決算発表を受け、時間外取引で4%超下落した。第3・四半期のウィンドウズやオフィスのライセンス収入が前期比でやや減少する一方、クラウド関連の売上高は小幅な伸びにとどまるとの見通しを示したためだ。
企業のコンピューター向けにソフトを販売し、ライセンス収入を得る従来のビジネスモデルから、サブスクリプション(定額制)サービスのクラウド事業へのシフトは一般的にマイクロソフトにとってプラスと受け止められている。
しかし、この約束された地への道のりは平坦ではないかもしれない。
BGCパートナーズのアナリスト、コリン・ギリス氏は「ライセンス方式からサブスクリプション方式への移行は痛みを伴う。今それが見え始めている」と指摘した。
マイクロソフトのエイミー・フッド最高財務責任者(CFO)はこの日、今四半期のライセンス収入は97億─99億ドルになるとの見通しを示した。10─12月期の107億ドルから小幅減となる。
同CFOは、ウィンドウズやオフィスの販売増につながるパソコン(PC)販売が引き続き低迷していることが理由と説明。ウィンドウズXPを搭載した古いPCの買い替え需要を背景にした昨年の販売増はすでに落ち着いたと指摘した。
さらに、ドル高の影響で売上高は全体で4%ポイント押し下げられるという。
クラウドプラットフォーム「アジュール」を含むクラウドサービス事業については、売上高は26億─27億ドルと予想。10─12月期は26億ドルだった。
マイクロソフトは売上高の内訳など詳細は公表していないが、サトヤ・ナデラ最高経営責任者(CEO)は26日の電話会議で、企業向けクラウドサービスの売上高は年間55億ドルのペースで伸びていると述べた。
ナデラ氏は、企業向けクラウド事業が6四半期連続で3桁の伸び率を記録していると強調するが、これは主に比較対象となる前年の数字が低いことが要因で、マイクロソフトが痛みを伴うかもしれいないクラウドへの長い道のりの比較的初期段階にあることを示すものだ。
FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「この弱い見通しは、ナデラ氏とマイクロソフトがクラウドに移行するなかで長期的な利益を得るために避けられない目先の痛みを示している」と述べた。
(Bill Rigby記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)
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