「何でも消毒する人」が知らない不都合な真実 おそらくあなたの消毒法はの間違っている

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悪い菌を心配しなければならない理由がある場合は消毒剤で殺菌すればよい。ただ、効き目は薬剤によって異なる。普通の石けんと水でも泡立てれば細菌を殺せるが、表面に付着した細菌を取り除くときには消毒剤ほど確実な効き目はないと、エモリー大学の化学者ビル・ウエストは話す。

こうした用途には、漂白剤、消毒用のイソプロピルアルコール、エタノール、過酸化水素、クワットベースのクリーニング製品のほうが、はるかに効果的だ。

漂白剤やアンモニアなど、ガスが発生する消毒剤を使う場合は、まずドアや窓を開けて換気するか、使い捨てのマスクを着用し使い終わったら捨てるようにと、ミスタルは助言する。

すぐに拭き取っていないか

言いにくいことだが、おそらくあなたの消毒のやり方は間違っている。消毒剤をスプレーしたり塗り広げたりした後、すぐにペーパータオルやスポンジで拭き取ってしまう人が多いが、それだと殺菌が終わる前に薬剤が取り除かれてしまうと、ウエストは言う。

市販の製品を使っている場合は、ラベルに消毒時間が記載されているはずだ。例えば、ライゾールの消毒液スプレーは表面に3分間とどめる必要がある。漂白剤の推奨時間は1分から10分までとさまざまだ。

アルコールベースの薬剤は最終的に蒸発するため、そもそも拭き取る必要がないと、エモリー大学の民族植物学者カサンドラ・クエーブは言う。ハートマンによると、植物性の消毒剤の中には、15分とか30分も放置しなければならないものもある。

最後にポイントをまとめておこう。私たちのように細菌恐怖症にかかった人たちは殺菌に喜びを感じるが、あらゆる細菌を殺すのはよくない。こぼれたものをきれいにする必要があるときは、消毒剤でなく、石けんと水か、効き目の強くない洗浄スプレーを使おう。

ただし、生肉を扱った後とか、家族の誰かが病気になったときは、汚染された表面を消毒するため強力な薬剤の出番となる。使用時には、窓を開けて換気し、よく効くように薬剤を塗布したまま十分な時間待つ。もしかしたら、待っている間に家の中を片付けるチャンスがあるかも……。なんてね。

(執筆:Melinda Wenner Moyer)
(C)2022 The New York Times

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