第1四半期のGDP年率1.0%減、第2四半期も多難 「四重苦」に襲われ不確実性高まる日本経済

拡大
縮小

2022年1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率1.0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。減少率は市場予想(1.8%減)よりも小さかった。新型コロナウイルス感染拡大で行動が制限された上、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で物価が上昇する中、個人消費が減速した。内閣府が18日発表した。

 

オミクロン、半導体不足、円安、輸入物価高の四重苦

GDPの過半を占める個人消費は、年明けのオミクロン株急拡大の影響で対面サービスを中心に減少した。半導体不足による自動車の供給制約、ウクライナ情勢悪化や円安による輸入物価上昇も下押し要因となった。

新型コロナのワクチンの調達などで輸入は3四半期ぶりの高い伸びとなった。輸入の伸びが輸出を上回った結果、外需寄与度は3四半期ぶりのマイナスに転じ、GDPを押し下げた。

山際大志郎経済再生担当相は会見で、1-3月期はマイナス成長だが、コロナ前の水準をほぼ回復した21年10-12月期から「大きく下振れているという認識ではない」と説明。景気は持ち直しているとの判断を「変える必要はない」と語った。一方、ウクライナ情勢やコロナなど不確実性が高いとし、政府としてやるべきことを前進させ、確実に経済を成長軌道に乗せることが必要だと述べた。

コロナ感染状況が落ち着いた3月以降は個人消費が持ち直しつつあり、ブルームバーグの 集計では4ー6月期のGDPはプラス成長を回復する見通し。もっとも、ウクライナ情勢は依然緊迫した状況で、エネルギーや原材料など輸入物価の高い伸びが続いており、企業収益や個人消費の下押し圧力としてくすぶっている。「ゼロコロナ」政策の中国では生産や消費が悪化しており、日本経済への影響が懸念される。

詳細(内閣府の説明)

  • 個人消費は外食サービスが減少に寄与
  • 企業設備は2四半期連続プラス、汎用(はんよう)機械や研究開発費が増加に寄与
  • 民間住宅(1.1%減)は3四半期連続マイナス、資材上昇が続いている
  • 政府最終消費支出(0.6%増)はコロナワクチンが寄与
  • GDPデフレーターはマイナス0.4%、前期はマイナス1.3%
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