会社から「辞めてほしい」と言われたらどうする? 「解雇」とは違う退職勧奨とはどういう制度か

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会社から任意で雇用契約を解消する「退職勧奨」制度について解説します(写真:polkadot/PIXTA)

「退職勧奨」という制度があるのをご存じでしょうか?

「解雇」が会社からの一方的な雇用契約の解消であるのに対し、「退職勧奨」は会社が任意で雇用契約の解消を従業員へ申し出て、従業員がそれに応じた場合にはじめて退職の効力が生じます。

日本では解雇のハードルが高い

従業員のなかには、勤務態度や素行が不良な人、周囲との協調性がなく職場の雰囲気を悪くする人、能力的に業務の遂行が著しく問題がある人など、会社として雇い続けること難しい従業員がいる場合もあります。

しかし、日本では解雇のハードルが高いため、裁判をしたとしても「よほどの事情」がなければ無効と判断されます。

それに対して、退職勧奨は合意に基づく雇用契約の解消ですので、会社は解雇無効や解雇権乱用で従業員から訴えられるリスクを回避できます。従業員としても、退職金の増額や退職期間の調整など、解雇と比べて労働者に有利な条件が多くなるため、次の生活に向けて気持ちを切り替えやすいという側面もあります。

では、退職勧奨はどのように行われるのでしょうか。事例を紹介します。

<事例1 退職勧奨がうまくいったケース>

「もうこれ以上、Aさんを指導するのは難しいです!」

従業員Aの上司が、会社にこう訴えました。話題にのぼったAは、2年ほど前に専門職として中途採用された従業員です。Aは採用面接で「前職でこの業務を3年間経験し、自分1人でもできます」「前職では後輩の指導も行っていました」などとアピールし、即戦力を期待されて入社しました。

ところが入社後、実際にAに仕事をさせてみると、採用面接でしていた話とは違い、「できる」と言っていた業務のほとんどをまともにこなすことができません。

次ページまずは退職勧奨に応じたケースから
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