会社から「辞めてほしい」と言われたらどうする? 「解雇」とは違う退職勧奨とはどういう制度か

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これに対し、Bは「退職はしない。会社で仕事を続けたい」と強い口調で断りました。会社は退職勧奨を取り下げざるをえず、Bは継続して勤務をすることになったのです。

しかし、その後もBによる納期遅れがたびたび発生し、上司から指摘をされても一向に改善されない状況が半年ほど続きました。会社がBの配置転換を検討していた矢先、Bのほうから「退職をしたい」という申し出があり、退職に至りました。

退職勧奨を行うにあたり、解決金の支払いは必ずしも必要ではありませんが、従業員が退職勧奨に応じやすくするために、金銭的なメリットを示すことは少なくありません。解決金として退職時にまとまった一時金を支払う方法だけではなく、退職する日を数カ月先にし、その間は仕事を免除する一方、給与を支払うという方法もあります。従業員は次の就職先を探す期間にあてることができます。

一度、入社した従業員に退職を勧めるという状況は、決してよいことではありません。しかし、問題行動を起こしたり、業務の責任を果たせなかったりした従業員を雇用し続けることは、ほかの従業員へのモチベーションを下げたり、会社の業績を悪化させたりするなどの理由で難しい場合もあります。

いずれにしても、従業員の生活環境や意向を尊重して、メリットを感じられる条件を提示することで、円満なかたちでの解決が望めるといえるでしょう。

退職勧奨を受けた場合どうしたらいいか

では、この退職勧奨を従業員の立場からみた場合はどうでしょう。

自分が会社から退職勧奨を受けた場合、会社を辞めてもいいのか、辞めたくないのかによって対応は異なります。

会社を辞めてもいいと思っているなら、会社側に退職の条件を確認しましょう。特に重要なのは金銭面です。会社からの退職勧奨に応じて退職するのであれば、通常より多くの退職金支給を要求すべきです。

また、一般的に退職勧奨に応じた退職は「会社都合」になります。ただし、転職先に知られたくないといった理由で、「自己都合として対処してほしい」と希望することも可能です。その場合は、失業手当の受給要件の緩和が受けられないなどのデメリットもあるので、会社側とよく話し合って決めることが重要です。

なお、勝手に自己都合にされてしまっているケースもなかには見受けられるので、そこはしっかり確認をしておくことが必要です。

会社を辞めたくないのであれば、退職勧奨に応じる必要はありません。退職勧奨は解雇とは異なり強制力はありませんから、ただ「断る」だけでいいのです。

感情的になって言い争いをすると、自分に不利な材料を会社に与えることにもなりかねません。あくまでも冷静に話し合うように心がけましょう。自分で判断がつかないときは、弁護士などの専門家に相談することも一つの手です。

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