東京⇒ロンドン、33歳の私が痛感した男女不平等 制度は整っていても表面を削れば偏見が顔を出す
周りの女性たちはみんな似たようなことを経験している。仕事の範囲以外のことを求められたり、ときにはイベントの計画や日程設定など、事務的な仕事までさせられる。同じレベルの男性社員はそういう仕事をさせられてないのに。すごく仲良くしている女性、アンナちゃんは、ある投資ファンドのロンドン支局で2番目に偉い人なのに、投資先会社の社長たちによく秘書に間違えられて打ち合わせの日程設定をお願いされる。
こういう扱いが日常化すればするほど、「被害者」の若い女性たちも訳がわからなくなる。「上司に評価されているからこれ頼まれている?」と「私は女性だから頼まれている?」、この間の一線が非常に曖昧。
明らかになる二重基準
だから私とセイラちゃんという友達は、「ハリーの試金石」という法則を考えた。ハリーはセイラの会社の若い男性。幹部に可愛がられている彼はいくらでもわがままが言えて、絶対に便利使いされない。「ハリーの試金石」というのは、上司に「これはちょっと」と思う仕事を頼まれたとき、「ハリーだったらどうなる?」と考えること。ハリーがやらない仕事だったら、自分も抵抗していい。これで二重基準が明らかになる。
私も、不平等の自覚しにくさを日頃肌で感じている。
私は、広報の仕事の一環として会社のソーシャル・メディアを担当していた。会社の人が参加するパネル・ディスカッションの情報を、その会社のアカウントからリツイートしたら上司(女性です)に怒られた。
「綾さん、パネル・ディスカッションの参加者の写真、見た? 全員男性でしょ? 弊社の人間が受けちゃったので参加するのはもう止められないけど、広報としてその写真をそのままリツイートするの? これからそういうのを真剣に考えなければいけない」
そんなことに気づかなかった自分に、自分でびっくりした(ちなみに、パネル・ディスカッションの参加者が全員男性であることを英語で「manel(マネル)」〈man+panel〉と言います。ぜひ使ってください)。
そのときの上司のフィードバックを受けて、会社全体のための「イベントに関する方針」を作って会社の人たちが「manel」に参加してはいけないことにした。これを使って、私たちはイベントの主催者にプレッシャーをかけることができて、「チェンジ」に貢献できた。
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