東京⇒ロンドン、33歳の私が痛感した男女不平等 制度は整っていても表面を削れば偏見が顔を出す

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現在のMBAのプログラムは、将来のビジネスリーダーの姿を垣間見させる。2020年に売上高上位の米国企業30社の社長の4割以上は、MBA取得者だった。私も将来、政財界でリーダーになりたいと思って、2017年に世界上位のMBAプログラムに進学した。大学で文学を専攻した私は、データ分析と経理の知識が求められる管理職や経営幹部のポジションを目指す上で不利な立場に置かれていた。MBAが「成功への切符」を与えてくれるだろうと期待した。

MBA院生の女性比率はまだ3割くらいだったけど、そこで知り合った女性たちはみんなとてもパワフルでかっこよくて、話すたびに、こういう女性たちが将来のリーダーなんだな、と実感した。

だけど、問題は「女性首相がいる」とか「管理職の半分が女性だ」とかいうことではない。もちろん金融業界みたいに、いまだに男性中心社会で女性の管理職比率がすごく低い「遅れている」業界もある(ある投資会社で広報を担当する友達によると、20年前にスタートしたその会社には最近まで育児休業の制度がなかった。そもそも女性が少ないから議論になったことがなかったのだ)けど、本当の問題はもっと別のところにある。

普通の社会生活の根底にまだ残る性差別意識

欧州は、男女平等の社会を作る上で次のステージに入っている気がする。例外はあるものの、外見上というか、制度上の差別はないし、ルールもきちんとしているけど、人々の無意識、普通の社会生活の根底に性差別意識はまだ残っている。表面を少しでも削れば、「フェミニズムを信じない」的な発言や偏見が出てくる。そういう意味では、西洋が乗り越えなければいけない性差別の問題はセクハラよりもっと深い。

だから仕事上、若い女性にとって一番大きな問題は、気持ち悪い上司や中高年の男性たちじゃなくて、自分がモノ扱いされることと便利使いされること。

女性は何かを頼まれたとき、「NO」と言わない。女性たちは人を手伝う、相手に合わせる、思いやりを見せる、そう育てられている。それが女性らしさ、優しさだ、と。

加えて「能力があって仕事ができる女性」ほど、きちんと自分を認めさせなければいけない、仕事ができることをわからせないといけない、っていうプレッシャーがある。だから仕事を断れない。そういう女性は、会社にとって、男たちにとって「都合のいい存在」でしかない。

そしてこれは男性だけの問題じゃない! 自分が経験したのと同じような大変さを下の世代にも体験させたい(あるいは「経験するべきだ」)と思っている上の世代の女性たち(今とは比較にならないくらいの男性社会の中で生き抜いて地位を築いたシニアの女性たち)にとってもまた、現代の若い優秀な女性たちは「便利使い」の対象になる。

次ページ周りの女性たちはみんな似たようなことを経験している
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