芸人の「本音トーク」を受け止めた視聴者の変化 事前打ち合わせがない『あちこちオードリー』

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

『あちこちオードリー』は2019年に始まった。番組プロデューサーの佐久間宣行氏がもともと考えていたのは「打ち合わせと事前アンケートのないトーク番組を作りたい」ということだった。

一般的なトーク番組では、本番でゲストにどういう話をしてもらうのかを決めるために、事前に打ち合わせを行ったり、アンケートに答えてもらったりする。それらを一切なくすことで、ゲストが気楽に話せる新しい形の番組ができるのではないか、と佐久間氏は考えた。

そこでMCとして白羽の矢が立ったのがオードリーの2人だった。オードリーの若林正恭は、相手に寄り添って話を聞く能力が高く、自分の興味に従って質問を投げかけて、相手の本音を引き出すことができる。一方、相方の春日俊彰は明るく微笑み、ゲストが何でも話しやすい雰囲気を作っている。

この番組では台本もなく、現場でディレクターから「こういう質問をしてください」といったカンペが出ることもない。若林が自分の知りたいことや疑問に思うことをゲストにぶつけていく。

ほかの番組では聞けないゲストの本音

若林は単に聞き上手であるだけでなく、自分の中の純粋な興味や関心からゲストに向き合うところがいい。彼自身がテレビの仕事で悩んだり、考えたりした経験があり、その実体験に基づいて話を聞いているので、ピントを外すことがない。ほかの番組では聞けないゲストの本音が聞けたり、ディープなテレビ論・お笑い論・仕事論が展開されたりすることもある。焦点を絞ってどこまでも話を掘り下げていくところにスリリングな面白さがある。

一方、『やすとものいたって真剣です』(ABCテレビ)は、前身番組『やすともの恋愛島』の企画を一部引き継ぐ形で2020年4月に始まった。「真剣に生きる人にスポットを当てる」というのが番組を貫く1つのテーマになっていて、開始当初は真剣に生きる人を追いかけるような密着VTRと、真剣に生きるゲストの話を聞くスタジオトークで構成されていた。徐々にスタジオトーク中心の内容になっていった。

次ページ女性芸人ならではの温かい雰囲気
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事