【産業天気図・精密機器】円高・デジカメ鈍化で企業間格差が拡大する

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天気は『晴れ時々曇り』から『曇り』へと変化しそうだ。2004年下期からデジカメの成長鈍化でブレーキがかかったからだ。05年度上期も、総じて減速基調を引きずる模様だ。
 唯一のプラス材料は、コピー・プリンタなど事務機が、カラー化を背景に拡大基調にあること。まだ全体のカラー化率は3割程度と言われ、海外を中心に成長余地が大きい。ハード拡大に伴い、採算の高い消耗品が伸びる好循環もある。これらを手掛けるキヤノン、リコー、富士ゼロックス(富士写真フイルム子会社)、コニカミノルタホールディングス等には追い風だ。
 一方、悪材料として浮上してきたのが円高。キヤノン、富士写真フイルムを始め、精密業界は海外売上比率の高い企業が多い。ユーロとの絡み、海外生産の拡大等で以前より影響は小さいが、円高が続けば業績悪化が避けられない。
 さらに来年は、デジタルカメラ市場の伸びの鈍化が明確になる。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、10月まで業界の出荷台数は前年同期比44.3%増。「失速」と言われながら、04年はそれなりの成長を維持してきた。しかし、来年の市場は10~20%の伸びにとどまりそうだ。競合関係を考えると、単価下落も収まりそうにない。
 今下期の業績悪化を受け、各社は作り過ぎを是正、新製品の強化等を進め、2005年度は収益回復を見込む。しかし新製品の動向次第で企業間格差がさらに拡大、デジカメからの「脱落組」が出てくる可能性が高い。
 部品では半導体、携帯電話、PCなど仕向先によって強弱はあるが、全体に05年上期までは弱含みで推移しそうだ。
【並木厚憲記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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