アメリカ「メンソールたばこ禁止」に踏み切る理由 これまでにない「厳しい規制」に評価の声も
メンソールたばこ販売禁止の骨子は、5月4日の連邦官報で規制案として公開され、その後少なくとも60日間にわたり一般から意見を募ったうえで最終案となる。意見公募の結果、修正が施される場合もある。FDAはまた、6月に一般からの意見を聴取する場も設ける予定だ。
メンソールたばこの禁止には、少なくとも1年を要するとみられている。たばこ会社は規制に反対して訴訟を起こす公算が大きく、そうなれば法廷闘争が長引き、販売禁止がさらに遅れる可能性もある。
アメリカのメンソールたばこ販売で約9%のシェアを持つフィリップモリスUSAの親会社アルトリアの広報担当者は、メンソールたばこを禁止すれば、監督が行き届かない闇市場で違法に取引されるようになり、不幸な健康被害をもたらすと警告した。
圧力をはねのけて規制を強化
アメリカ肺協会で啓発・政策提言活動を担当するエリカ・スウォードは、規制の草案を読み込んだうえで、強力な規制のように思われると評価した。同草案では、フレーバー付きの小さな葉巻(シガリロ)も禁止対象になっている。「規制案を弱めようとする試みが避けられなかった中で、そうした圧力をはねのけたことは特筆に値する」と、スウォードは語った。
ホワイトハウスの記録からは、アメリカ心臓協会やアメリカ小児科学会など、メンソールたばこの販売禁止を支持する団体との会合がここ最近、何度か行われていたことが確認できる。
一方、アメリカ税制改革協議会やタックス・ファンデーションといった経済団体は、メンソールたばこの販売を禁止すれば、連邦税と州税を合わせて1年目で66億円もの税収減になると、ホワイトハウスの当局者を牽制した。
FDAは今回の発表で、「喫煙者個人によるメンソールたばこ、またはフレーバー付き葉巻の所持、使用を禁じることはできないし、禁じることもない」と明確に述べている。
(執筆:Christina Jewett記者)
(C)2002 The New York Times
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら