ウクライナでの戦争を歴史家が楽観視しない理由 「1979年の危機」が今世界に突きつける教訓
正真正銘のファシスト
3月16日にロシア国民に向けてプーチンが行った演説を観た人は誰もが気づいて身震いした。私たちが今渡り合っているのは、不器用ではあっても計算高いソ連時代のゲーム理論家でもチェスプレイヤーでもなく、正真正銘のロシアのファシストなのだ。
ロシアは「社会の自己浄化」を実施し、「ろくでなしや裏切り者」を駆除するべきだと断言することで、プーチンはロシア国内で粛清が行われることをはっきりさせた。
なにしろ、悪いのは内部にいる背信の第5列に決まっており、けっして独裁者その人ではないのだ。
その時点まで、私は核兵器や化学兵器を使うというプーチンの脅しははったりだと考えがちだった。この脅しが効いて、バイデン政権はポーランドのミグ戦闘機をウクライナに提供するのを思いとどまった。
だが、今や私は、プーチンが掩蔽壕からどんな命令を下しかねないか、本気で心配しはじめている。
通常兵器を使う軍事行動をなんとか継続させ、切羽詰まったプーチンの焦りを和らげることを可能にするものが仮にあるとすれば、それは中国による支援だけだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら