米最高裁が「中絶の権利」覆すことで起きる事態 アメリカでは中絶事態が違法になってしまう?

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中絶対応施設への距離の変化の予測に関する昨年12月の調査では、判決が覆った場合、合法な中絶は約14%減少する可能性が高いとされている(この予測値は、直近の調査で13%に更新された)。

Q. いま中絶を受けているのは、どんな人たちか?

A. グートマーカー研究所の調査によると、現行法の下では、アメリカ人女性のおよそ4人に1人が今後どこかの時点で中絶を受けると予想されている。

中絶を受ける女性の背景はさまざまだ。しかし統計によると、アメリカで中絶を受ける女性は、未婚、20代、低所得、すでに子どもがいるといった条件に当てはまる傾向が強く、全体の人口構成よりも黒人の割合が高い。また、民主党支持が強い州の在住者であることが多い。

世界における中絶の状況

Q. 判決が覆ったら、アメリカの状況は世界と比べてどうなる?

A. 中絶法規を近年厳格化した国はごく少数しか存在しないが、ロー判決が覆れば、アメリカはそうした国々の仲間となる。1994年以降に中絶法規を強化したのは、ポーランド、エルサルバドル、ニカラグアの3カ国だ。一方、この間に中絶を受ける権利を拡大した国は、センター・フォー・リプロダクティブライツによると59カ国にのぼる。

ロー判決の下、アメリカでは妊娠約23週目まで理由を問わず中絶が認められている。

妊娠可能年齢の女性の約4分の1が暮らす66カ国では、中絶は禁止されているか、女性の生命が危機に瀕している場合のみ認められている。ロー判決が覆れば、アメリカの一部の州は、これらの国々と足並みをそろえることになる。

Q. 変化はいつ起こる?

A. すぐにではない。現時点で中絶はすべての州で合法であり、どの州にも中絶に対応したクリニックが少なくとも1つは存在する。

リークされた文書は最終意見書ではなく、草案だとされている。最高裁が公式に判決を下すのは1カ月以上先とみられ、判決内容が現在出回っている草案とは異なったものになる可能性も残されている。

最高裁が実際にロー判決を覆した場合は、一部の州のクリニックは数日以内に閉まる可能性が高い。中絶を禁じているその他の州では、その過程に数カ月かかる場合もありそうだ。

(執筆:Claire Cain Miller記者、Margot Sanger-Katz記者)
(C)2022 The New York Times)

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