米最高裁が「中絶の権利」覆すことで起きる事態 アメリカでは中絶事態が違法になってしまう?
漏洩したアメリカ連邦最高裁判所の意見書草案は、人工妊娠中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」(ロー判決)を覆すものであり、実際に覆れば、中絶の適法性をめぐる判断は各州に委ねられ、過去半世紀には見られなかった状況がアメリカに立ち現れることになる。
最高裁の最終意見は6月に出るとみられているが、仮にその内容が今年2月に作成され、5月2日に政治専門メディア「ポリティコ」によって報じられた草案に近いものとなった場合、「リプロダクティブライツ(生殖に関する権利)」は、ほぼ即座に書き換えられることになるだろう。ロー判決の終わりが何を意味するのか。主なポイントをQ&A方式で整理した。
中絶は約半数の州で違法になる可能性
Q. ロー判決が覆ったら、中絶はアメリカ全土で違法になるのか?
A. ならない。中絶が合法かどうか、またどのような場合に合法になるかは、各州の判断となる。多くの州では引き続き合法となるだろう。中には、中絶規制に動くとみられる州に住む女性を助ける条項の整備を進めている州もある。現時点では、中絶の合法性はすべての州で維持されている。
Q. 中絶を受ける権利が変化する可能性が高い州は?
A. 予測によって違いはあるものの、中絶は約半数の州で違法になる可能性が高い。
中絶の権利を守る法廷闘争を行い、州法を丹念に追跡しているセンター・フォー・リプロダクティブライツによると、法的な条件が整えば、25州が中絶を禁止する公算が大きいという。
具体的には、アラバマ、アリゾナ、アーカンソー、ジョージア、アイダホ、インディアナ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピ、ミズーリ、ネブラスカ、ノースカロライナ、ノースダコタ、オハイオ、オクラホマ、ペンシルベニア、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ユタ、ウェストバージニア、ウィスコンシン、ワイオミングの各州だ。