国際文化会館とAPI「合併」で目指す新境地の展望 船橋API理事長、近藤・国際文化会館理事長に聞く

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会館は、戦後、焼け野原となった日本において、寄付集めのためのパーティーを吉田茂が総理官邸で開催し、のちにノーベル文学賞を受賞する川端康成らも個人として寄付して、最終的には7000社の企業と5000人以上の個人が寄付をして、それにロックフェラー財団による同額の寄付が加わり、設立されました。あの時代に、これだけの企業や人からの寄付を集めて、国際文化会館を築くことがどれほど大変だったかを、私たちは認識しておかなければなりません。

中核になったのは、松本重治とロックフェラー3世でした。実はこれには伏線があって、2人は、1929年秋に京都で開催された太平洋問題研究会の代表団秘書として参加していました。この会議の最大のテーマは、中国を巡る日米の対立でした。結果的に、日米の開戦回避には失敗しましたが、戦後、そのメンバーだった松本やロックフェラーが再会し、国際文化会館を構想したのです。

つい最近まで戦争をしていた アメリカと協力して、平和と繁栄のパートナーシップを構築する民間組織を作ろうというのは、非常に大胆な試みでした。しかも、その拠点は、今では港区唯一の名勝である小川治兵衛7世の庭園と、国の有形文化財に登録されている日本のモダニズム建築を代表する建造物です。

あの時代に、そんなものをどこに提案して、誰が資金を提供してくれるのか。非常に破天荒な構想だったに違いありませんが、世界の中の日本の立ち位置を確立するために、繰り返しになりますが7000社の企業と5000人以上の個人の支援を得て、創設することができたのです。

政策研究や知的交流に役立ててきた事業

――APIの最も意義ある事業は何ですか。

船橋:事業ということで言えば、「日米軍人ステーツマン・フォーラム(MSF)」と「シリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム(SVJP)」ですね。

MSFはアメリカ統合参謀本部議長と自衛隊統合幕僚監部参謀長の経験者に年に一度、集まっていただき、そこに現役のトップの方々もお招きし、日米同盟の課題をオフレコで語り合う試みです。2014年から8回開催してきましたが、この間、中国の挑戦に関する日米双方の脅威認識のギャップなどの指摘やその克服のための方策、さらにはサイバー・セキュリティーをめぐる日米間の課題、朝鮮半島有事を想定した日韓の戦略対話と軍同士の意思疎通の必要性など、議論を深め、問題意識を共有してきたと自負しています。

SVJPは日米のデジタル分野のリーダーが交流するプラットフォームで、日米の経営トップが信頼関係を築き、デジタル社会の未来を構想する場を提供してきました。近藤さんが日本側の議長として育ててくださったプログラムです。

いずれも、非公開の事業ですが、ここでの知見やシナリオ・プラニングやネットワークは政策研究や知的交流に役立ててきました。

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