国際文化会館とAPI「合併」で目指す新境地の展望 船橋API理事長、近藤・国際文化会館理事長に聞く

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船橋洋一(ふなばし・よういち)/1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。1968年朝日新聞社入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007~2010年12月朝日新聞社主筆。現在は、現代日本が抱えるさまざまな問題をグローバルな文脈の中で分析し提言を続けるシンクタンクである一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの理事長。現代史の現場を鳥瞰する視点で描く数々のノンフィクションをものしているジャーナリストでもある(撮影:尾形文繁)

――合併でどのような相乗効果を期待されているのですか。

近藤:合併で会館に「グローバル・カウンセル」という非常に重要な組織を新設します。船橋さんにチェアマンに就任していただきますが、志は、世界のリーダーとの対話を通じて、国際秩序のルール作りを含め、影響力を発揮していくことです。これは、言うは易く行うは難し、です。世界のリーダーを招致して話を聞くだけではまったく不十分で、実のあるものとするには、高いレベルの会議を主催し、議論を戦わせることが求められます。また、われわれ自身も世界的な会議に出ていってさまざまな提案をし、アジアの知的な拠点としての存在感を発揮していかなければなりません。

そこに向かってさまざまなプログラムを起動させていくうえで、会館が培ってきた国際交流の資産やノウハウと、APIの持つ政策提言能力のマッチングには相乗効果が期待できます。船橋さんがチェアマンとして指針を示してくださることを、非常に楽しみにしています。アジア圏で民間主導の影響力のある国際会議は稀で、これは、実現できれば非常に大きなジャンプだと考えています。

シンクタンクと国際交流、合併で相乗効果を

船橋:統合後も、これまでのそれぞれのプログラムを維持し、ノビノビとやろうと話し合っているところです。APIには「アジア・パシフィック・イニシアティブ・フォーラム(APIF)」というプログラムがあって、年次国際会議を実施してきました。主に日本と東南アジア、インドの起業家の方々をお招きし、インド太平洋地域が直面する国際秩序、ルール、貿易・投資、インフラ、経済格差、気候変動、エネルギー、教育などさまざまな経済社会の課題を語り合い、アジアでのさまざまな取り組みとアイデアを世界と共有していこうという試みです。

Articulating Asian ideasを探求しようという心意気で始めています。2019年にはオバマ元大統領に基調講演をしていただきました。若い起業家の方々の中には日本を含むアジアの現代アートについても興味を抱く向きも多く、これもまたArticulating Asian ideasなのではないかと思っています。この活動は、シンクタンクと国際交流が混然一体となっているプログラムで、合併により相乗効果を発揮できたらいいな、と願っています。

――それぞれの歴史について、少し伺っておきたいと思います。国際文化会館の70年の歴史で最も意義あった事業を教えてください。

近藤:70年で最も意義ある事業を1つだけチョイスするのはとても無理ですが、1つ言えることは、「国際文化会館」を作ったこと、そのこと自体が奇跡に近いということです。

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