株価の乱高下はそろそろ終了に向かうと読むワケ 主要国の株価は年末に向けて次第に上昇へ

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投資家や専門家の中には「利上げ幅が0.5%なら株価は上昇基調、0.75%なら下落基調」などと「予言」していた向きもあったので、そうした人々は「予言的中」と悦に入っていたのではないだろうか。

ところが翌5日には、NYダウは前日比1063ドル幅(3.1%)、ナスダック総合指数は同5.0%もの急落を演じ、前日の上げをすべて消し込んだ。10年国債利回りはこの日、いったん3.1%近辺に急伸した(その後はやや落ち着いたが、週末6日にかけて利回りは一時3.14%台にまで高まるなどして週を終えている)。ドル円相場も1ドル=130円50銭前後へと、ドルが強含む展開だ。

こうした4日と5日の相場つきの様変わりについて、市場解説記事では「4日は連銀が急速な引き締めをしないという安堵感が市場に広がったが、5日には急速な引き締めに対する懸念が台頭した」というものが目立つ。4日の夜に、投資家たちの枕元に熊の神様が立ち現れ、「引き締めが加速するぞ~、株価は下がるぞ~」とでも警告のお告げをしたのだろうか。

「単なる心理の振れ」や「ポジションの投げ」が原因か

株価動向の背景を連銀の金融政策に無理やり求めるような、ちまたにあふれ返っている市場解説は、適切ではないだろう。

要は、世界に不透明要因は好悪ともに多くある。投資家は確信を持って市況が上昇するとも下落するとも見込みがたく、市場参加者の心理は不安定のままだ。それゆえ、冷静に考えれば株価が上昇するはずだ、との要因が現れても、上昇することも下落することもある(下落材料が現れても同様)といった相場つきに陥っている、と解釈している。

でたらめな市場変動により、傷んでいるポジションも多くあるだろう。このため先週も、損失を被っての投げ買い、投げ売りが交錯したと推察する。市場波乱がさらなる損失覚悟の手じまいを招き、それがまた市況の変動を激しくするという悪循環だ。一部では、真偽は定かではないが、とくにIT関連株などの金額の大きな投資ポジションで傷みが広がっている、との観測もあるようだ。「損失お化け」が隠れているのかもしれない。

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