4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ--岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》


 米国でも日本でも、準備預金残高が増えると株価が上がり、準備預金残高が減ると株価が下がっている。それは、ブタ積みであっても、予想インフレ率が上昇するからだ。

デフレの原因として、生産年齢人口が減っているからだという説があるが、生産年齢人口が減っているのは日本だけではない。白川総裁は生産性が低いことをデフレの理由に挙げているが、日本よりも低い国はいくらでもある。だが、デフレなのは日本だけだ。貨幣以外がデフレの原因だという説は、データを国際比較すれば、破綻する。

--では、2%のインフレ目標が必要なのですか。

普通は2%でうまくいく。ただ、日本は98年秋からデフレが続き、累計では、10年現在、物価が2%で上昇した場合よりも24%低い。追いつくには、4%ぐらいのインフレでも10年かかる。当面は4%のインフレ目標を設定したほうがいい。そして日本は短期国債金利がゼロなので、金利がプラスの長期国債を買わないと効果が出ない。

脱却のルートはこうだ。日銀が1年半から2年程度でインフレ目標を達成するとコミットし、大量の長期国債買いオペでマネタリーベースを増やす。そうすると、予想インフレ率の上昇から、予想実質金利が低下し、株価が大幅に上昇して投資と消費が増える。一方、実質実効為替相場で見て円の価値が下がり、輸出が増加し、輸入品との競争力も高まって内需も増える。この二つのルートから、総需要が持続的に増加し、デフレ脱却ができる。

--4%ものインフレ目標を設定して国債の増発を引き受けるとなると、市場がマネタイゼーションを懸念して、悪い金利上昇が起きるのではないでしょうか。

予想インフレ率が上がれば、経済成長への期待が出てくるので、税収増が期待できる。データで見れば、名目成長率が上がれば、基礎的収支は改善している。当初4年くらいは利払いが増えるが、その後は増えず、税収だけが増える。悪い金利の上昇を避けるには、財政出動はこれ以上必要がないと言えばいい。

--デフレよりも、潜在成長率の低さが問題だという声もあります。

経済政策には役割分担がある。成長政策は市場に任せて競争環境を維持することだ。しかし、デフレ脱却は日銀が金融政策でやらなければいけないことだ。

■デフレを理解するための推薦図書■
『「不安」を「希望」に変える経済学』 岩田規久男 著/PHP研究所
『日本経済のウソ』 高橋洋一 著/ちくま新書
『円高・デフレクライシス』 岩田規久男 著/講談社現代新書、11年2月刊行予定

いわた・きくお
1942年生まれ。66年東京大学経済学部卒、73年同大学大学院博士課程修了。83年上智大学教授、98年から現職。76~78年カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。専門は金融・経済政策。『日本銀行は信用できるか』(講談社現代新書)など。
撮影:吉野純治

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