4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ--岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》

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4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ--岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》

■要点
・日銀がデフレを容認しているからデフレが定着している
・マネタリーベースを増やせば、予想インフレ率は上昇する
・4%のインフレ目標の導入でまず、デフレ脱却を急げ


--デフレ脱却のための積極的な金融政策を主張なさっています。
 
 まず、なぜ、デフレが長期化しているかということだが、デフレ予想が定着しているからデフレになるという、トートロジーのような構造に陥ってしまっている。人々がデフレになるという予想を持って動くことが、デフレを維持してしまう。

それを打破するには、日本銀行がデフレ脱却を目指す姿勢をハッキリと示すことが必要で、最も望ましいのが、インフレ目標を導入し、マネタリーベース(以下MB)である中央銀行の当座預金と現金を増加させる政策を行うことだ。

過去の実例を見ると、MBの増加は、インフレ予想の引き上げに効果を発揮している。2004年3月から日本でも物価連動債が発行され、予想インフレ率が算出できるようになった。04年3月から06年2月までの量的緩和の時期には、予想インフレ率は0・6~0・9%あった。しかし、量的緩和の解除によってMBが大きく減少すると、原油価格急騰にもかかわらず、08年前半の予想インフレ率は0・2%台に低下した。

米国の場合も、MBが増加した03~05年の予想インフレ率は2・5%近くまで上昇し、MBが減少した07年にはインフレ率が2%を割った。

米国は明確なインフレ目標政策は採用していないが、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長はインフレ率2%を目標にし、その前後になるようにうまく調整している。

ところが、日本の場合は、日銀が量的緩和を解除した06年3月以前の5カ月間の平均インフレ率がゼロ%だったので、市場は日銀がゼロ%を目標にしていると思っている。白川方明総裁になってからは、デフレでもいいという姿勢だと見られている。だから日銀が、量的緩和をやります、と言っても、予想インフレ率はなかなか上がらない。

こうした両国の姿勢の違いから、米国はマネタリーベースの増加に、予想インフレ率が反応しやすいが、日本の場合は、反応しにくくなっている。

リーマンショックのあった08年9月以降、米国はどんどんMBを増やして、最大で2・3倍にまで増え、10年1月から11月までのインフレ率(全品目)は1・7%だった。しかし、日本は、1割しか増やしていないので、同じ期間のインフレ率がマイナス0・8%とデフレになってしまった。

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