米国の「共働き夫婦の凄さ」を日本人は知らない 経済大国のパワーカップルは「考え方」が違う

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もっとも、金銭面が理由だけでなく、「知らない人を家に入れたくない」と、家事代行やナニー、ベビーシッターに抵抗を感じる人もいるだろう。その辺りも欧米の文化の違いが現れていそうだが、奈央さん自身も「うちでも罪悪感を感じたりする……」とためらう部分もあるよう。現在は、勤務先の病院まで近いこと、子どもも学校に近く送り迎えの負担も少ないこと、シッターたちとの短期間での信頼関係の構築が難しいなどが理由で誰も雇っていないという。

ただ、こうしたアウトソーシングを活用していないことで、周囲には驚かれることもあるそうだ。

奈央さん「エレベーターでナニーさんに会って、『掃除大変だよね〜』と話していたら、『え、ナニーさんいないの!?』って凄い驚かれて。ニューヨークだとそういうノリですね。マイアミだともっと凄くて、家事する人なんていないですよ。住み込みが当然で、ある時、私が『学校に子どもを迎えに行かなきゃいけないから早く帰らなきゃ』って言ったら、『え、なんで住み込みの人がいないの?』的な雰囲気になって、やりにくかったです」

マイアミ時代はナニーを活用

アメリカの移民文化、アウトソーシング文化を象徴するようなエピソードだが、潤さん・奈央さん夫妻も、11年住んだマイアミ時代には、週に1度の掃除、数日の子どもの送り迎えを任せられるコロンビア人の家政婦をずっと雇っていたという。

奈央さん「その人は親戚のおばちゃんって感じで、私たちが引っ越しするときは泣きながら送り出してくれて。家政婦さんとは上下関係ではなくて、向こうはちゃんとお金をもらっているわけで。家政婦さんのお母さんが亡くなったときには、『今週は働かないけど、お給料はいつも通り渡すね』みたいなこともあって、良い関係でしたね」

昭和の時代と異なり、共働きがもはや当たり前となりつつある日本の子育て世代。上がらない給料、増える税金や社会保障費、老後2000万円問題……など、さまざまな要因から、2馬力を選択する夫婦が増えている。

だが、給与のいい都市部で働くと、故郷にいる祖父母の支援を受けられないことも多いわけで、そうなると、仕事と家事・育児の両立は困難になりがちだ。

ある種のジレンマと言えそうだが、では、日本の先をいくアメリカはどうなんだ? と考えると、実態としては「仕事の専門性を上げて、労働時間を減らし、家事や育児の一部をアウトソーシングし、負担のない範囲で自分たちも関わる」……という感じらしい。(もちろん、アメリカ全土に当てはまるわけではないだろうが)

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