米国の「共働き夫婦の凄さ」を日本人は知らない 経済大国のパワーカップルは「考え方」が違う

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奈央さん「私は父の仕事の関係で、小学3年から中学3年までイギリスで過ごしていたんですが、当時は『日本でちゃんと適応できる人間になりたい』との思いがあって、高校受験をして日本の高校に入ったんです。

その高校は周囲に帰国子女が多かったこともあって息苦しさを感じなかったんですけど、大学は違って、帰国子女が私くらいで、窮屈さを感じてしまって。海外にふたたび行こうと思ったのはそれがきっかけです。

なので、『勉強したい』っていう高い志ではなくて、アメリカの卒後臨床研修にしたのも、アメリカ医師国家試験の対策がしやすかったからなんですよ」

こうして奈央さんがアメリカに渡り、それを追うようにして、潤さんも渡米。「なかば無理やり(連れてきた)」と話す奈央さんだったが、海外に行きたいと思っていた潤さんにとっては、ある意味、背中を押してくれる出来事だったに違いない。

「(奈央さんの)学年が上ということもあるし、僕からすると彼女の性格もあるし……」

「それは言わなくていい!」

取材中、潤さんが話そうとする言葉に、奈央さんがツッコミをいれる“夫婦漫才”のようなかけあいが何度もあった。リードするのが奈央さんのほう、というのは、学生時代から変わっていないようだ。

同じ職場で働いている理由

その後、ニューヨークでの研修医生活を経て、小児科の医師となったふたり。結婚、2人の子どもたちの誕生、マイアミへの引っ越しなどを経験していく。

写真:本人提供

そして、ニューヨークに戻った現在は、アイビー・リーグを構成する一校である名門・コーネル大学の大学病院にそろって勤務しているという。(編集注:同校はニューヨーク州北部のイサカという田舎町に本学を置いているが、医学部はマンハッタンにある)

奈央さん「私たちがやっている小児医療は専門性が高いので、大都市を除けば、各都市にそういうことをやっている病院が1個くらいしかないんですよ。だから、以前勤務していたマイアミでも一緒の病院で働いていて。

今の病院は、最初に私が面接をして『夫がニューヨークで仕事がないから来られません』と伝えたら、たまたま夫のポストも人材を探してて、偶然一緒になった感じです」

意図的に職場を一緒にしているわけではないが、専門性が高い分野ゆえに同じ職場になったふたり。「夫婦で同じ職場」と聞くと抵抗を示す人もいるかもしれないが、共働きをするうえではメリットも少なくないようだ。

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