なぜ「円安は日経平均に追い風」と言い切れるのか アメリカがインフレ警戒を緩める条件とは?
日本経済全体、すなわちGDP(国内総生産)に占める製造業の比重は2割に過ぎない一方、日本株においては6割(日経平均採用銘柄数のうち6割強、TOPIXは時価総額ベース6割強)と大きな差がある。輸出を手がける企業はもちろん、海外現地法人を有する企業は、円安による収益カサ上げ効果が強く効く。
ここで注目すべきは、名目輸出金額が2000年代半ばの水準を突破し、過去最高を更新していること。4月21日に発表された3月の貿易統計に基づくと、輸出金額は8兆4609億円となり、3月としては過去最高を更新した。
サプライチェーン問題によって「稼ぎ頭」のアメリカ向け自動車輸出が前年比マイナス16.7%と精彩を欠いているにもかかわらず、全体ではプラス14.7%と大きく増加。その要因は、数量がマイナス1.5%と減少したものの、価格(≒平均単価)がプラス16.0%と大幅に伸びたことで輸出金額がカサ上げされたことだ。
通関時に適用されたドル円の平均レートは1ドル=115.86円と前年から8.1%の円安水準であったから、この間の円安が大きく貢献したことがわかる。季節調整値の輸出金額は前月比プラス1.7%、7兆5702億円とこちらも過去最高を更新。「リーマンショック後の円高で日本企業は海外に生産拠点を移転したから、もう輸出は増えない」といった認識が定着していたが、そうした常識が覆された格好だ。
最近の円安は輸入物価上昇を通じて個人消費を圧迫するといったマイナス影響があり、マクロ的に「よい・悪い」を判断することは難しい。とはいえ、日経平均やTOPIXなどの株価指数に組み込まれる大企業製造業にとって円安はプラスである可能性が高い。これらを踏まえて筆者は、当面の日経平均は2万8000円を中心に推移すると予想している。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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