なぜ「円安は日経平均に追い風」と言い切れるのか アメリカがインフレ警戒を緩める条件とは?
ただし、さすがに夏場にはサプライチェーンの修復が一段と進み、財インフレが落ち着くことで「0.25%に戻す理由」が見つかると考えられる。FEDは9月FOMCに向けてインフレ警戒を緩めると予想され、そうした潮目の変化が起きる局面で、長期金利は低下に向かい、株価を押し上げると予想される。
利上げ幅を0.25%に戻す際、FEDの政策態度がハト派方向に傾斜する際、その初期の兆候を見逃さないようにしたい。
では、アメリカの引き締め観測が落ち着く中、日本株が昨年来高値を更新するかというと、それは難しい。というのも、株式市場では業績のピークアウト懸念が意識されやすい局面にあるからだ。
その典型例として、半導体製造装置の受注動向に注目したい。内閣府が公表する機械受注統計で半導体製造装置の受注動向が反映される「電子計算機等」に注目すると、受注額そのものは高水準にあり、旺盛な需要が示されているものの、その前年比伸び率は明確に縮小傾向にあり、成長の勢いが鈍化していることが示されている。
半導体製造装置の受注動向は、電子部品や化学品(半導体部材)など広範なIT関連財と関係を有する。半導体製造装置を直接手がける企業の存在感は、必ずしも株価全体の方向感を決めるほど大きくはない。だが、関連企業を含めると日経平均に大きなインパクトを与え、結果的に両者が連動する。
日経平均採用銘柄に占める製造業の比重は?
実際、「電子計算機等」の受注額と日経平均株価は共に下向きのカーブを描いている。半導体製造装置の受注急増が一服する局面において、株式市場では「広義半導体」関連銘柄の業績拡大期待が膨らみにくく、株価指数に下押し圧力がかかる。中長期的にみて広義半導体が有望セクターであることに変わりはないが、現在の株価指数を持ち上げるにはエンジンの出力が足りない印象だ。
一方で、株価を押し上げる要因として、筆者は「よい円安」に注目している。最近の円安は輸入物価上昇など「悪い」部分が注目されているが、日本株には「よい円安」と筆者は考えている。なぜ、そういえるのか。それは、株価指数が(大企業)製造業偏重であることが大きい。
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