アメリカのインフレ率が鈍化するこれだけの証拠 日本株が再度上昇するには何が必要なのか

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FRBは今後どんなペースで利上げに動くのか。結果として市場が警戒しているほどではない可能性もある(写真:giri / PIXTA)

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)がインフレ退治で強力な対応を迫られている。ここへ来て3月15~16日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)における0.5%(50ベーシスポイント)の利上げすら現実味を帯びている。

セントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は1月の消費者物価指数が7%を超えたことを受けて7月1日までに1%の利上げ(おそらく3月0.5%、5月0.25%、6月0.25%)を主張したほか、ローレンス・サマーズ元財務長官は直ちに臨時FOMCを開催し、3月末終了予定のQE(量的緩和)を直ちに終了すべきと主張した。そうした強力な金融引き締めが実現となることが意識され、FF金利先物が織り込む2022年の利上げ回数は6回程度まで増加している。

そうしたなか、アメリカのクレジット(社債)市場ではリスク性資産としての性格が強いハイ・イールド債に加え、投資適格債も売られている。金利上昇を見込んだ企業が大型起債を急ぐといった、やや特殊な要因もあるが、根底にはFRBの金融引き締めによって景気後退が引き起こされるとの懸念があるのだろう。

景気後退の予兆を知らせる長短金利差はあらゆる尺度で縮小傾向にあり、またそうしたなかで信用市場と関係の深い銀行貸出態度は厳格化方向に転じている。

世界のインフレ率が鈍化する兆候とは?

また欧州ではイタリア国債の利回りが上昇傾向にあり、10年金利は年初の1.2%程度から一時1.8%程度へと急上昇した。ECB(欧州中央銀行)の年内利上げが現実味を帯び、同時に資産購入プログラムの前倒し終了が意識されたことで、リスクに脆弱なイタリア国債への資金流入が細っているのだろう。

アメリカ、ドイツ、そして日本などで安全資産の国債金利が復活するなか、投資家はリスク量に応じた選別を進めており、金融緩和局面でみられる利回り追求の動きは一服している。このように株式以外のリスク性資産が下落していることは認識しておきたい。

もっとも、筆者は年央には、アメリカを中心に世界のインフレ率が鈍化する兆しが散見されており、FRBを中心とする主要中央銀行がタカ派色を弱めるとの見通しに自信を深めつつある。アメリカでは市場参加者の関心が利上げ打ち止め時期とその水準に移行するとみられる。

着眼点は(1)予想インフレ率の安定、(2)サプライチェーン問題の緩和、(3)労働市場の回復余地である。他方、不確実要素は「原油」に尽きる。原油の価格決定において地政学リスクが重要な位置付けである以上、上振れリスクはつきまとう。

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