限界?再起は?「小泉父子」存在感が急低下する訳 純一郎氏は一線から退き、進次郎氏は再び下積み

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純一郎氏は3月末、メディアの取材に対し「(講演会は)もうやんない。4月からやめることにした」と明言した。1月に80歳になったことから「いつ体調が悪くなるかわからない。1年前にいいと言っても、行けなくなったら来た人に悪いから」と高齢による体調不安が理由だと説明。すでに、依頼のあった3回の講演会を断ったという。

もちろん、持論の原発ゼロについて変える気持ちはまったくない。4月10日の新潟市での集会でのあいさつでも「これから原発を動かしてやろうという動きが強く出て、良くない」と口を尖らせた。今後についても「あいさつくらいなら」と言うが、元首相としての原発ゼロ運動では、一線から身を引く構えだ。

純一郎氏は今年1月末、細川護煕、村山富市、鳩山由紀夫、菅直人の首相経験者4氏との連名で、東京電力福島第一原発事故で「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」とする書簡を欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会に送り、EU内での原発反対を求めた。

これに対し、政府は「誤った情報」(西銘恒三郎復興相)として山口壯環境相が反論文書を送付、さらに福島県内や自民党からも「風評(被害)が広がる」(高市早苗政調会長)と非難の声が相次ぐ騒ぎに。小泉氏は「活動停止とは関係ない」と語ったが、影響は否定できない。

そもそも純一郎氏は、2009年に67歳で政界を引退後、東京電力福島第一原発事故を機に脱原発派へ転向。2013年秋から講演会などで「原発ゼロ」を主張し始めた。首相を5年以上務めた保守派リーダーの脱原発論は極めて異例で、2014年の都知事選で原発ゼロを掲げて支援した細川護煕元首相が落選した後も、全国各地での講演を続けてきた。

政治家としての実績に乏しい進次郎氏

一方、進次郎氏は、華々しく政界入りした後、再登板で“1強”として君臨し続けた安倍晋三元首相と距離を置き、2012年の総裁選でも石破茂元幹事長を支持。その後も、安倍氏が求めた官房副長官就任も断わるなど、反安倍の立場を続けた。

しかし、2019年秋の内閣改造に先立ち、当時の菅義偉官房長官の仲介で人気タレント滝川クリステルとの結婚を官邸でお披露目するという前代未聞の行動後、環境相就任を快諾して官邸の軍門に下った。

もともと進次郎氏は「独立独歩の個性派」のイメージを押し出してきたが、内実は政治家一家の4代目として、父・純一郎氏から地盤、看板、カバンを継承した典型的世襲議員。環境相就任前には、一部週刊誌に「国会質問ゼロ、議員立法ゼロ、質問主意書ゼロのトリプルゼロ」の議員として批判されたこともある。

それでも、各種世論調査での「次の総理にふさわしい人」ではつねにトップ争いを続け、国政選挙ではナンバーワン応援弁士として活躍してきた。ただ、政策実現など本来の政治家としての実績は乏しく、農業改革、こども保険、国会改革などに取り組んだが、いずれも頓挫。「平成のうちに」と大見えを切った国会改革も、国会のペーパーレス化だけで終わった。

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