面倒と大規模修繕丸投げする組合が知らない真実 管理会社に施工依頼するメリットとデメリット

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1つ目の責任施工方式は工事のすべてを管理会社(施工会社)に任せる発注方式になる。修繕工事の仕様の作成、工事そのもの、チェックまでトータルで任せる方法だ。「責任」の言葉通り、最初から最後まで1つの会社が担うことを意味するため、管理組合の準備に関する時間的負担は軽減される。

2つ目の設計監理方式は設計・工事監理と施工を別々に発注する方法。設計・工事監理と施工を管理会社、または設計事務所などが担い、施工は別の会社が担当するやり方となる。第三者が介在し、中立的なチェックが入るとされている。

公正なイメージだが、癒着も起こりやすい

一見すると、第三者が介在する点で、責任施工方式よりも公正なイメージに映る。ただし、設計監理を行うコンサルタントと施工会社の癒着や談合などが起こりやすい側面もあるのだ。

実際、2017年には国土交通省が「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通達を出したほどで、社会問題として一時メディアなどでも大きく報じられた。設計コンサルタントや施工会社の選定については管理組合が主体となり、より注意して臨む必要がある。

この他、さくら事務所が提案するプロポーザル方式を利用する管理組合も増えている。プロポーザル方式については後述する。

また管理組合が施工会社として選び、下請け施工会社は管理組合が数社を比較の上選定、管理会社は元請け施工会社としての経費を下請け施工会社の工事費用に上乗せして管理組合と契約するコストオン方式、基本的には責任施工方式の形を取りつつ、第三者のコンサルタント会社に工事の仕様や費用、施工中のチェックなどを行う監修方式などがある。

「責任施工」と「設計監理」のどちらを選択したとしても、管理会社がかかわることによるデメリットが発生する可能性がある。代表的デメリットとして次の3点が挙げられる。

1. 管理会社は管理組合の会計内容を熟知している

日頃からマンション管理に関わっているだけに、管理組合の活動内容にも詳しい。当然、積立金の残高や一般会計にはどれぐらいの剰余金があるのかなど、管理組合の懐事情を把握しているのだ。最適なコストではなく、積立金の残高ありきの施工金額を提示してくる可能性が考えられる。長い付き合いとはいえ、マンション管理はビジネスでもある。自社の利益を上乗せしてこないとは言い切れない。

次ページ2つ目、3つ目のデメリットは?
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