一方で、アーバンアウトフィッターズの騒ぎはある意味「お約束」にすらなっている。
2012年には、まるでナチス政権によるユダヤ人の大量虐殺を意味する「ホロコースト」を惹起させる、胸に星印がついた黄色のTシャツを発売した。これはナチス政権下に、ユダヤ人が着用を余儀なくされたものとそっくりだった。このTシャツはユダヤ、非ユダヤの双方から非難を轟々と浴びた。「holocaust」「urban outfitters」などで検索いただければ多くの画像が出てくる。
もはや「リアル炎上商法」か
さらには、2014年に摂食障害の女性も対象としたVネックTシャツを投入。ガリガリに痩せた女性モデルを使い、胸からおなかにかけてデカデカと「eat less」と皮肉ってみせた。これを英語では、「Pro-Ana T-shirt」と呼ぶ。プロアナとは聞き慣れない単語かもしれないが、無食欲症(拒食症)のことで、もちろん一種の病気だ。ここまでくるともはや「リアル炎上商法」とも呼ぶべきかもしれない。
これも「Urban Outfitters」「eat less」と検索いただければ多くの記事が読める。炎上商法と皮肉ったものの、私見では、これに関しては正直、よくわからない。疾患者援助の観点から同社を批判する姿勢はよくわかる。そして、ある種のユーモアとしてアーバンアウトフィッターズはTシャツを販売したのだろう。もちろん、無食欲症に罹患する女性を笑ってよいはずはない。難しい問題だ。
最後はJCペニーという、大手デパートチェーンが起こした問題だ。同社が2011年に販売した長袖シャツ。そこにはポップな文字で、“I'm too pretty to do homework so my brother has to do it for me.”“ Who has time for homework when there's a new Justin Bieber album out?”と書かれていた。
和訳すれば、「可愛い私がなんで学校の宿題なんてやんなきゃいけないのよ。そんなの私の兄弟がやってくれるわ!」「ジャスティン・ビーバーのニューアルバムが発売されているのに、宿題なんかやっているヒマなんてある?」
これには批判が殺到した。JCペニーはTシャツの販売を中止。この事件も同じく「too pretty to do homework」「JC Penney」とネット検索いただければ出てくる。若年層向けに販売されていた商品だったが、「JCペニーの性意識はまるで100年前のものだ」とも批判された。これはまだジョークの部類だろうか。それとも、やはり悪しき差別観念の表出だろうか。
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