アディダス、GAPの大炎上事件から学ぶこと 「ジョークだった」では済まされない

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アディダスは「奴隷制」という悪しき歴史を思い出させた。ギャップの「Manifest Destiny」、アーバンアウトフィッターズのホロコーストTシャツも同じく歴史問題に近いことを想起させた。同じくアーバンアウトフィッターズのTシャツは病人差別、JCペニーの「too pretty to do homework」は根深く残る性差別が表出したものだった。

「今の」日本では大丈夫かもしれないが…

これらは英語圏で大炎上し、日本では煙さえかぐことのなかった事件だった。今の日本でこれほど過敏な反応はないかもしれない。「炎上商法で上等じゃないか」と思うかもしれない。

しかし、そこには「今の」と前置きがつく。近い将来は、作り手は無意識であったとしてもこういった騒ぎを覚悟せねばならない。やはり企業が永続的に繁栄するためには、消費者を炎上させるのではなく、自社商品に共感してもらわねばならない。必要以上に怯えることもないが、ソーシャルネットワーク(SNS)で瞬く間に拡散してしまう時代にあっては、注意が肝要だ。

作り手がジョークと思っても、それは受け取り手が決める。もちろん意図的な差別表現はご法度だが、デザイン的なある種の「悪ふざけ」も、消費者にしたら大問題となる。うーむ、、、これが私たちの望んだ「消費者主権」と「平等主義」なのだろうか。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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