マクロン大統領は勝利も2期目の政権運営に不安 6月に迫る議会選挙、基盤弱いマクロン氏の政党

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決選投票で逃げ切ったマクロン大統領だが、6月に国民議会選挙が控える(写真:Bloomberg)

2017年の前回選挙と同じ顔ぶれとなったフランス大統領選の決選投票は、現職のエマニュエル・マクロン大統領が、極右政党・国民連合(前回選挙では国民戦線)のマリーヌ・ルペン候補を破り、再選を決めた。

フランスで現職大統領が再選されるのは20年振りとなるが、マクロン大統領が国民から全幅の信頼を勝ちえたと受け止める向きは少ない。前回の決選投票で32%ポイントあった両候補の得票率の差は、今回は開票率95%の速報段階で14%ポイント差に縮まった(図表1)。極右大統領の誕生を再び阻止したものの、フランス国民の間でマクロン大統領の人気が低迷していることや極右アレルギーが薄れてきたことを裏付ける結果だった。

選挙戦の争点となったのは、資源価格の高騰で厳しさを増す国民生活だった。各種の世論調査では、大統領選で誰に投票するかを決定するうえで重視する問題の最上位に、物価や所得環境などの暮らし向きを表す「購買力」が並び、「気候変動」や「移民」といったその他の重要課題を上回った。

ルペン氏は極右色を薄め、生活苦に照準

2017年の大統領選では移民問題やフランスのユーロ離脱などが重要争点であった。ルペン候補は、自身をイスラム移民から国民を守る「愛国主義者」、マクロン氏を欧州統合推進派の「グローバル化の信奉者」として対比させた。だが今回の選挙戦では、ルペン候補はフランスのユーロ離脱(フレグジット)の主張やロシアのプーチン大統領への支持を撤回した。

ルペン候補は、今度は自身を物価高騰や生活苦から国民を守る「愛国主義者」としてアピールし、物価高騰から国民を守っていないとして、マクロン政権の対応を糾弾した。対するマクロン大統領は、コロナ危機やロシアによるウクライナ侵攻への対応に追われ、選挙戦への本格参戦が遅れた。過去5年間で積み残した年金改革の継続を掲げるなど、公約も新鮮味に欠け、黄色いベスト運動に象徴される「金持ち優遇」のイメージを払拭することができなかった。

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