ECO/STANDARD/SPORTと3段階あるドライブモードと、アクセル操作のみで車速調整できる「e-ペダル」についても、各モードとe-ペダルのON/OFF、合計6パターンの走行を試してみたが、それぞれで開発者が「何をユーザーに伝えたいか」がしっかりわかるチューニングが施されていた。
特にe-ペダルが「低速でも使いやすく進化した」と日産が説明している点について、「利くタイミング」と「利きの強さの加減」が実に巧妙である。
筆者は、リーフが誕生する前の段階から「ティーダ」のボディを用いた実験車両を日米各所で試乗しており、またその後も世界各地でスマートグリッドなど電力網や充電インフラ整備と並行して進んできたリーフの技術改良の現場を見てきた。
こうした現場で日産はさまざまな苦悩と努力をしてきており、それがアリアの走り味に反映されているのだと思う。
また、日産が強調する静粛性の優秀さについても、同様だ。たしかに「静かだ」と感じるのだが、その静かさがクルマ全体に対する無機質感に結びついていないところが、日産としての仕上げの上手さである。
準天頂衛星「みちびき」によりプロパイロットも進化
そのほか、日産インテリジェントモビリティの真骨頂である、高度運転支援システムの「プロパイロット2.0改良版」も試したが、スイッチ操作から作動開始に至るプロセスが、とてもすんなり進んだという印象を受けた。
これは、準天頂衛星「みちびき」を活用し、約50cmまで精度を高めたことで、自車レーンの特定が的確になり、プロパイロット2.0作動中のクルマの動きが“しっかりした”ことによるものだ。
さらに、新たに「Amazon Alexa」を導入したことで音声認識の精度が一気に上がり、車内音声認識に対するストレスから解消されたと感じた。
試乗の時間は1時間強と限定的だったが、アリアは単なるプレミアムBEVではなく、リーフ量産技術に裏打ちされた、“人のぬくもり”を感じるBEVだということがわかった。
では、技術的に見るとどうなのだろうか。最後に、視点を変えてBEVの肝である充電技術と電池についても触れておきたい。
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