平凡な毎日と決別するためにできる「日常の探検」 50代日本人探検家が考える「新時代の歩き方」

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会社員を続けるか、ロビンソンに賭けるか。

思い悩むほどの問題ではない。わたしたちは、明日死なないという保証はない。生きている時間は有限だ。おもしろいことを後回しにできるほど人生は長くない。

それは雨上がりの空にかかる虹のようなものだ。目を離しているうちに、あっという間に消えてしまう。チャンスを逃したら次いつまた出合えるかわからない。

会社か、探検か。

迷ったらおもしろいほうを選べ。その道をどこまでも一直線に突き進めばいい。

探検家の心得をもって生きる

人生は選択の連続だ。順調に歩めていたかと思えば、突如として大きな壁が立ちはだかり、「もう一歩も動けない」なんて打ちひしがれることもあるだろう。でも、そんなときにこそ、思い出してほしいことがいくつかある。

●本当かうそか迷ったら、信じることから始める

昔話『浦島太郎』を実話と思う人は、ほぼいない。だが、わたしは物語を信じてみることから始める。信じようとしない者に扉が開かれるはずがないからだ。どんなに荒唐無稽のレッテルを貼られていても、まずは信じてみること。開かずの扉にも見えない引き手が隠されていることがある。

浦島伝説最古の絵に描かれているカメは、アオウミガメだったと判明した。最古の浦島伝説の1つは『丹後国風土記』に書かれているから、丹後の海に来たアオウミガメに発信機を付けて追跡すれば、龍宮を探し出せるかもしれない。そんな可能性だってある。

●糸口は人と人の数珠つなぎで見つける

トルコにサンタクロースのモデルになった人物がいたと聞いた。トルコに知り合いはいなかったが、周りの知人に聞いてみることからはじめ、ついには身長167cmで細身、推定70歳まで生きたことがわかった。

『最高におもしろい人生の引き寄せ方』(アスコム)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

小さなつながりが世界を広げる。探検は目に見える世界ばかりか、人と人を結ぶネットワーク世界に及ぶ。むしろ新しい発見のチャンスはその目に見えない世界にある。

見知らぬ誰かと同じ夢をシェアするとき、その人が知人を紹介してくれることがある。そこから味方を増やしていく。人との出会いは、その人とつながる人脈に結び付くことでもある。

最後に、本当に大切なことは人生に一度しか起こらない。これを心に留めて生きて、探検を続けてほしい。

いろいろ思い悩むタイミングもあろう。でも、とにかく自分の直感を信じて、あなたが持つ人生のコンパスが「楽しい」と指し示す方向へ進もう。いつかきっと、「最高に楽しい!」と思える人生がおとずれるはずだ。

髙橋 大輔 探検家

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たかはし だいすけ / Daisuke Takahashi

1966年、秋田市出身。高校時代から世界6大陸を放浪。「物語を旅する」をテーマに世界各地の神話や伝説を検証し、文献と現場への旅を重ねている。2005年、ナショナル ジオグラフィック協会(米国)から支援を受けた国際探検隊を率い、実在したロビンソン・クルーソーの住居跡を発見。浦島太郎、サンタクロース、間宮林蔵、鳥島漂流民、剱岳の謎など多くのテーマを探検。「クレイジージャーニー」(TBS系)ほか、テレビなど出演多数。

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