フランス大統領選「マクロン」「ルペン」決定的違い 最後に肉薄したルペンが当選したらどうなる?

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ルペンはフランスを自分の意のままにしようとするだろう。ドナルド・トランプ前アメリカ大統領が、アメリカの同盟国を考慮せずに、国益に固執することを望んだのと同じように。

例えば、大統領になったルペン氏は、ウラジーミル・プーチン大統領に対するヨーロッパ統一戦線の先頭に立つエマニュエル・マクロン大統領とは逆に、ウクライナ戦争をめぐるロシアへの制裁措置に賛成しなかったかもしれない。

移民問題はもっとも2人の考えが異なる

移民問題は、ルペン氏とマクロン大統領を最も隔てる主題である。アメリカやイギリスのように移民を歓迎し、彼らを市民に育成する能力を標榜する「アングロサクソン・モデル」の熱烈な賞賛者であるマクロン大統領は、移民を非常に肯定的に捉えているといえる。この5年間、移民を抑制するどころか、不法移民を減らすことさえもしていない。

一方ルペン氏は、父親の例に倣い、合法的な移民も不法な移民も攻撃するつもりだ。同氏は、フランスに家族を呼び寄せる移民の権利を抑圧し、社会保障給付へのアクセスを厳しくし、帰化をより困難にする考えを持っている。

さらに、ルペン氏はフランス中のイスラム教徒の女性のベール(ブルカ)を禁止する法律を通すと約束している。「そんな禁止令は、どの国でも施行されたことがない」とマクロン大統領は主張しているが、ルペン氏がその気になれば、現在500万人、つまりフランス人口の8%を占めるイスラム教徒の反感を買うことは間違いないだろう。

このほかにルペン氏が掲げる最も重要な政策の1つは、年金開始年齢を60.7歳から62歳にし、以前の状態に近づけることである。一方、マクロン大統領は財源不足を理由にその年齢を65歳に引き上げることを公約している(現在の年齢は62歳である)。

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