ウィル・スミス自伝で告白していた二重人格の闇 妻は45日連続で泣き、一時は年下の恋人を作る

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ジェイダの誕生日を祝うため、ウィルはサンタフェのホテルを貸し切り、40人の招待客を呼んで、ディナーパーティの後、内緒で製作していたジェイダの人生についてのドキュメンタリー映画を上映した。人々はそれを見て感動したが、ジェイダは黙ったまま。そして部屋に戻り、2人きりになると、ジェイダはウィルに「あれはあなたのエゴの丸出し。最低」とぶちまけたのである。

そこから激しい口論になり、ロサンゼルスに戻る飛行機の中でも2人は口をきかず、夫婦関係をいったんお休みしようということになる。ジェイダは現在50歳なので、もう10年も前のことだ。離婚はしないということで合意していたが、その休止期間中、ジェイダには年下の恋人ができている。結局2人がまたよりを戻した経緯については、書かれていない。

携帯のない環境で2週間を過ごす

ジェイダと離れている間、ウィルは、自分の内面をしっかり見つめようとした。インドでヴィパッサナー瞑想を体験した友人に影響を受け、携帯もコンピュータもない環境で2週間を過ごしたし、著名な心理学者の、ミカエラ・ボームに指導を受けたりもしている。

ミカエラとのカウンセリングで、ウィルは、「あなたの中には2人のウィルが存在する」と言われた。1人は、誰にでも優しく明るいウィル。みんなに好かれることを一番重視する彼を、ミカエラは「Uncle Fluffy(ふわふわしたおじさん)」と呼ぶ。もう1人は「General(将官)」。「Uncle Fluffy」と真逆で、暗く、厳しい「General」は、「Uncle Fluffy」が疲れると出てくるのだ。

「この2人ではない、自分の足でしっかり立つウィルを見つけなければいけない」と、ミカエラはウィルに言った。そのためにウィルは努力を重ねてきたようだ。だが、達成するのは容易ではないし、長い時間がかかる。アカデミー賞授賞式のあの瞬間、ウィルの中から「General」が出てきてしまったのではないか。さらに彼は、ジェイダの40歳の誕生日パーティと同じ間違いをもおかしてしまったのかもしれない。

ジェイダが「癒やしの季節」と呼ぶ今、ウィルとジェイダは再び自分とお互いを見つめ直していることだろう。『WILL』は彼の50歳の誕生日で終わっているが、この続きである新たな回顧録を書く時、ウィルは人生のこの部分について、どのように振り返ることになるのだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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