日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる

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黒田総裁自身は自分で成功したなどとは言わないし、手柄を強調したいとも思わないだろうが、日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある。

円安はすぐに止められるが、金融正常化が難しい

最後に、政府、政治としては「円安を止めたい」という短期的な意図があると思われる。だが私は、DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う。

むしろ問題は、その後、うまく正常化へ脱出できるかである。したがって、DAY5以降は、次の体制に任せるのはもちろんのこと、DAY4も先送りして構わないし、最悪DAY3も次の体制で構わない。ともかく、DAY1とDAY2を実現し、正常化に向かうというニュアンスだけで十分だ。

最重要の哲学は、中央銀行としての信認を失わない、ということである。その中での方針は、金融緩和政策の正常化を行うが、金融緩和自体の縮小は行わない、ということである。そして、最優先の短期の目的は、急激な円安進行を止め、異常な為替市場を正常化することである。そして、この短期の目的は、長期の金融政策正常化にとっても整合的であり、かつ望ましく、さらに正常化にとって必須である。

これにより、黒田日銀における異次元緩和は軟着陸の着地に成功することになると期待される。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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