「子どものコロナワクチン接種」でわかってきた事 子どもより大人の3回目接種を優先させるべき
2022年1月5日、『TIME』誌がアメリカCDC(疾病対策予防センター)の発表をうけて、「これまで800万人を超える5~11歳児がワクチン接種を受け、心筋炎の発症は11例であった」と報道しています(The COVID-19 Vaccine Is Safe for Kids Ages 5-11, CDC Data Show)。ということは、当面は、5~11歳児での心筋炎の発症は12歳以上の若年男性ほどではなさそうです。
一方で、5~11歳児は感染してもほとんど重症化しないことを考えると、たとえ心筋炎の発症頻度が10万人に1人程度であり、いずれも軽症であったとしても、感染がある程度制御されてきた日本で子どもたちにワクチン接種の必要が本当にあるかどうかは考えどころです。
家族間の感染リスクを下げるワクチン
これに直接関連したことが最近、報告されています。両親に対するワクチン接種で家庭内感染をどのぐらい抑制できるかという研究結果です(下図)。
それによると、両親のワクチン接種には直接的効果と間接的効果の両方があります。まず、直接的効果は、両親自身の感染リスクが94.4%減り、さらに両親が感染しても家庭内でそれを広げるリスクが72.1%減ります。
間接的効果は、子どもたちの感染リスクが減ることです。親のどちらかが接種した場合のリスク低減率はアルファ感染で26.0%、デルタ感染で20.8%でしたが、両親ともに接種した場合にはアルファ感染で71.7%、デルタ感染で58.1%、感染リスクが減りました。
すなわち、両親がワクチン接種をすると、子どもたちへの感染リスクが6~7割減ることになります。おそらくオミクロンではもう少しリスク低減率が下がるでしょうが、それでも家庭内感染のリスクを一定程度は下げることができるはずです。
小さな子どもたちにワクチン接種をする前に、まず両親がワクチン接種をすることが大事であると私は思います。
もう1つ大事なことは、現時点で子どもたちの間にどの程度、新型コロナの感染が広がっているかです。
これは子どもたちへのワクチン接種の是非を考えるうえで非常に大事なことなのですが、日本にはまだ十分なデータがありません。このデータなしには、5~11歳の子どもたちへのワクチン接種がどのぐらい必要なのかを判断するのは困難です。
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