なぜ道の駅は儲からなくても店を出せるのか

地方活性化とは名ばかりの「産直販売施設」

私は、東京と地方を行ったり来たりの毎日ですが、最近は地方で車に乗っていると、「これでもか」というほど国道沿いなどに、次から次へと道の駅が出てきたりするところもあります。当初は「トイレ休憩などもできる貴重な場所」といったように、存在感もありましたが、昨今ではコンビニの多くも、公共性を謡うことが集客につながるとわかってからは、綺麗なトイレを開放していたり、地方の特産品も売っていたり、と競合が激しくなる一方です。

そのため、実際に経営不振に陥り、赤字が続く道の駅が出てきています。これが普通に民間でやっていれる商業施設であれば、「すべてがうまくいくもんじゃないよね、それが当たり前だよね」で済みます。しかし、自治体が関与して税金で建てた施設が、失敗してしまえば、地域の重荷になってしまう事態に発展します。

実際に「このままだと経営破綻しそうだ!」となって自治体が特別予算を組んで実質的な救済に乗り出したり、はたまた閉鎖するという事例も出ていますここでは大手新聞社が報道している「道の駅」のニュースを参考に挙げておきます)。

もちろん、道の駅は、その他のさまざまな政策なども考えれば、「産直で地元の付加価値生産をあげよう」という趣旨は、評価できます。

しかし、「成功しているように見えるもの」にも、行政が主導することで、構造的には地域全体に与える問題もあったりします。では、こうした「経済活性化」という名目で行政が施設整備を税金で行い、その施設運営を民間に委託して実施することで生じる問題点は、どこにあるのでしょうか。

「初期投資ゼロ」がもたらす「大きな歪み」とは?

道の駅は基本的に、自治体が事業主体となって、施設そのものは税金によって開発されていきます。作った施設を、指定管理制度を活用した第3セクターなどに任せて経営してもらうというモデルが主流です。

もし、普通に民間が事業として施設を開発するならば、施設整備の初期投資部分の回収も含めて、施設運営の売上げから捻出するのが常識です。しかし、道の駅のほとんどは、初期投資は税金で作られています。

したがって、「その部分」については、稼ぐ必要がないという前提になってしまいます。そのため、事業計画の段階から、あまり売上げがあがらなくても「成立する」というような環境になってしまいます。立派な施設を税金で作っておカネはかかっているのに、経営上、売上げのハードルが楽になる、という歪んだ状況がここに生まれます。

一見すると、「立派なものを支援して作ってあげて、その後も大して儲からなくてもいいような仕組みになっているので、楽だからいいじゃないか」と言われたりするのですが、その過剰投資を税金で賄って、その後「楽になる」ということが、実際は経済を活性化するうえで、関係者の生産性を下げてしまうわけです。

結局、地方の生産性が上がらないのは、「損益分岐点が歪んだ形で、通常より低い水準で容認され、生産性は低くても維持可能な環境そのもの」にあります。運営を任された第三セクターなどの、売上げ向上・改善に向けての努力があまり行われなくなり、自ずとその地域に本来生まれるはずの利益が小さくなってしまうのです。

「ゼロよりはいいだろ」、と言われればそうかもしれません。しかし、普通に事業規模に対応した初期投資を皆で行い、より高い利益を生み出そうとして売上げの水準を上げていこうという「サイクル」の先に、活性化があるのです。

何も高いリスクをとることだけを奨励しているのではありません。しかし、「リスクが低く生産性をほとんど考えず、ソコソコでいいよね」という経営環境を求めているのであれば、それは活性化とは程遠い状況になってしまいます。

しかも、事はそう簡単ではありません。「初期投資がゼロ=売上げを上げる努力が怠られがち」だけなら、まだましかもしれません。実は、経費面でもマイナス効果を生みます。

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