リアス式海岸走る「コミュニティバス」の利便性 スーパーを交通拠点として活用・釜石市南部編

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

上平田に戻ってきたのは10時09分。すると10時13分には上大畑行きの岩手県交通がすぐ来て、同じバス停で乗り継げる。幹線に位置づけられた上大畑―釜石駅前―釜石中央―上平田―上平田ニュータウン西入口間の系統で、途中、大平を経由する便と嬉石バイパス経由便があるが、合わせて1時間に2本程度、運行されている。

佐須から来て乗り継いだ人もあり、ほぼ満席に近い。嬉石バイパス経由は海岸沿いを走るので、先に10時13分発、10時24分着で釜石市役所前まで乗っておく。なお上大畑とは、甲子川沿いに細長く伸びる釜石の市街地の、いちばん山側の奥に近いところ。釜石市内を走る岩手県交通のバスの大半はここを始発、終着とし、県立釜石病院など重要施設が並ぶ市街地を縦断してから、各方面へと散ってゆく。

大石行き釜石市コミュニティバス(筆者撮影)

さて、上平田へと戻って12時55分発の大石行きを待つ。大石着は13時52分で、約1時間の長丁場だ。このコミュニティバスの運転系統は少々複雑で、途中、経由地が違う便も合わせて、上平田―荒川間は平日5往復の設定。大石行きが3本、大石発2本がそのうちに含まれる。平日朝の3本は、やはり教育センターまで直通だ。土曜日は2往復に減り、日・祝日は運休である。

山間部を縫う旧道を進む

にこにこバスとは違って岩手旅行社と社名を掲げたマイクロバスが現れ、買い物帰り客など、私以外に6人乗って出発。次の停留所は平田第6仮設だが、すでに元の野球場に戻っている。いずれバス停名も改められ、震災の名残も消えてゆくのだろう。

大石バス停に停車中の釜石市コミュニティバス(筆者撮影)

国道45号を南下し、トンネルを抜けて左折したところが本郷。唐丹とは別の集落で、バスを利用しない限り通りかかることはなかった。ここの名物は、1933年の大津波からの復興の願いを込めて植えられた桜並木だ。今は古木となって数も減ったと思われるが、ぜひ開花時期に来てみたかった。

本郷から、ひと山越えたところが花露辺だ。ここも小さな漁村だが、地元の人は防潮堤を築かず、海辺を居住禁止として今後も対応することを決めたと聞く。バスは海沿いの新道ではなく、山間部を縫う旧道を進む。集落は眼下にある。

次ページ震災復興住宅2階にバス停
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事