仕事が遅い部下に必要なのは尻を叩く事ではない スピード命のビジネスには落とし穴がある事も

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暗闇をただがむしゃらに走れといわれれば辛いだけですが、見えるゴールを指して、「あそこに向かって走れ」といわれれば、わざわざ「急げ!」と尻を叩かなくても、部下は勝手に走り出します。つまり、課題が明確になれば、自然とスピードも上がっていくのです。

ただしここで1つ、注意しなければいけないことがあります。それは、今は世の中の変化のスピードが速すぎて、現状もあるべき姿もコロコロ変わってしまうことです。現状が変われば、課題も、解決方法も変わります。

現状が変わったことを認識できていないままだと、これまでどおり動いているつもりでも、気づけば意味のないところで動いているだけになってしまうこともあります。だからこそ、リーダーには、どれだけ正確に現状を把握できるかが問われています。あるべき姿、目標についても同じです。

つまり、リーダーは、つねに「構え」ておかなければいけないのです。

ビジネスは剣道などと同じ「構え」が大事

剣道や柔道などをイメージするとわかりやすいのですが、彼らは試合中、つねに構えています。しっかりと構えているからこそ、相手の動きにすぐに反応し、動くことができます。構えができていなければ、攻撃を避けることも受けることもできませんし、次の行動に移るまでにタイムロスが発生します。

ビジネスの場面でも同様で、構えができているかどうかで、次の1歩の踏み出し方が大きく変わります。ここでは仕事に対する構えとして、次の4つを意識してみてください。

①現状の認識が変わる情報を収集する
②あるべき姿(目指す方向性)が変わる情報を収集する
③新たな対策、より成果のでる対策を発見する
④①~③が見つかりそうな出会いを求め、行動を起こす

構えができていれば、あとは状況に合わせて素早く対応するだけです。さらにいえば、しっかりと構えることができているからこそ、スピードが活きてくるのです。

チームの戦略を立て、現状把握を欠かさず、部下にも見通しを共有することができたら、いよいよスピーディーに行動する段階に入るのですが、ここにきて、それでも速く動けない部下が出てきます。

どうしても行動が遅い部下は、やる気の問題だけではなく、行動を起こすための基礎スキルが不足している可能性があります。その場合には、仕事を細かくステージ分けして、1つひとつのスキルを着実に身につけさせるアプローチが有効です。

例えば初めて自転車に乗ったとき。いきなり自転車を渡されて、「さぁ、乗って」と言われて乗れた人は少ないでしょう。まずは補助輪を付けて、ペダルの踏み方から1つひとつ教えてもらったのではないでしょうか。

仕事も同じで、できるようになってほしいことを丸投げして部下の自走に期待するのではなく、必要なスキルを細かく棚卸し、ステージ分けをすることで、1つひとつ階段を上るようにスキルを身につけさせることを、私は勧めています。

「この人は、行動が遅いな」という印象を持っていた部下が、
・挨拶の仕方
・パソコンのタイピング
・メール文章の書き方

など、上司にとっては当たり前すぎる基本的なところでつまずいていることも十分ありえるからです。

仕事を細かいステージに分け、「できた」という小さな自信を積み重ねながら、理想とする状態まで引き上げていくことが有効です。基礎スキルが身につくにつれ、自然と仕事に向かうスピードも上がっていくでしょう。

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アルファポリスビジネス編集部

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