西九州新幹線「大村車両基地」はどんなところか N700S「かもめ」もお披露目、開業へ高まる機運

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総面積約10万9000平方mの敷地は長手方向に約1km、最大幅員約170mで、構内に仕業・交番検査線と全般検査を終えた車両を編成として整備する全検整備線を合わせた3線を有する「仕業・交番・全般検査庫」、台車振替、車輪転削、臨時修繕や車体検修を行う5線を有する「台車振替・臨時修繕・車輪転削庫」、それに留置線2線が並び、さらに塗装場、車体洗浄装置、編成を切り離す際に使用する解体線、構内入換の際の引き上げ線などを有する。これら車両基地の設備に隣接して保守基地も設けられている。

右の建屋は台振庫。中央は台振庫と一体化した臨修・転削庫 左は全検整備も行う仕交検庫(写真:仲井裕一)

ちなみに西九州新幹線の検査体制は、日常的な仕業検査と交番検査は大村車両基地で行い、60万km走行または18カ月以内に行う台車検査については台振庫で台車を外し、九州新幹線熊本総合車両所に搬送して実施、120万km走行または36カ月以内に行う全般検査は台振庫にて外した台車や機器を熊本総合車両所に搬送する一方、車体については大村基地内で検査や塗装作業を行う。

白地に赤のN700S「かもめ」には前社長の筆文字も

19日の記念式典、および20日の一般公開では西九州新幹線用の営業車両、N700S「かもめ」の編成も披露され、人気を集めた。この車両は、JR東海が開発したN700Sをベースに6両編成に短縮した仕様で、4編成が導入される。今年1月上旬、最初の1本が山口県下松市の日立製作所笠戸事業所から、瀬戸内海、関門海峡、玄界灘、平戸瀬戸、西海橋経由で大村湾内の川棚港まで航送され、それを日韓航路へ導入予定の客船「QUEEN BEETLE」を使って見物するツアーが組まれたことも話題になった。3月末現在、2編成が大村車両基地に輸送されており、残る2編成は日立で製造途上にある。「クイーンビートルで行くかもめウォッチングin玄界灘」は2回目も行われた。

N700Sは白地にJR九州のコーポレートカラーである赤を鮮やかに配し、シンボルマークや毛筆文字で「かもめ」のロゴを入れるなどで九州らしいオンリーワンの車両を表現している。ちなみにこの「かもめ」の文字は、3月まで社長を務めていた青柳俊彦氏が揮毫したものを転写したもので、添えられた小さな落款に氏の名前が読み取れる。

車内は1~3号車は指定席で、座席配置は通路を挟んで左右とも2人掛け。和洋折衷、クラシックとモダンを組み合わせたデザインで、800系とほぼ同様のプライウッドの背板や肘掛に、1号車=菊大柄、2号車=獅子柄、3号車=唐草とそれぞれ異なる色柄の生地を組み合わせ、車両ごとに特徴づけている。4~6号車は自由席車であり、既存のN700Sと同タイプの座席を通路を挟んで片側2列、片側3列の配置としている。座席定員は指定席が163人、自由席車が233人となる。なお、開業区間での最高運転速度は時速260kmとなっている。

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