対露戦略は変わる?決選目前「仏大統領選」の実情 4月24日投票、マクロンvsルペンの大激戦

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4月10日に行われたフランス大統領選の第1回投票ではマクロン氏(右)とルペン氏(左)が決選投票に駒を進めた(左写真:Louise Delmotte/Bloomberg、右写真:Benjamin Girette/Bloomberg)

フランスでは4月10日に大統領選の第1回投票が行われ、再選をめざす現職で中道・共和国前進のエマニュエル・マクロン大統領と、右派・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏が決選投票に駒を進めた。4月24日に行われる投票に向け、両者が激しい戦いを繰り広げている。

どちらが勝ってもフランスの政治状況は根底から変わると見られている。理由は左右の既存政党である中道右派の共和党と中道左派の社会党の両候補が過去にない大敗を喫し、政治地図は大きく塗り替えられたからだ。むろん、ウクライナ危機もかなり影響している。

最もダメージを受けた社会党と共和党

第1回投票で過半数を制する候補者がいない場合、フランスの選挙制度では上位2人が第2回投票に進む。決選投票は2017年の前回の大統領選挙と同じ、マクロン氏とルペン氏という顔ぶれとなったが、5年前に初めて立候補したマクロン氏も、過去3回大統領選に挑戦しているルペン氏も、今回の得票率は過去の第1回投票より高かった。

マクロン氏はウクライナ危機への対応に現職大統領として没頭し、大統領選に出遅れたが、前回を上回る27.84%と得票率でトップだった。

一方、ルペン氏は23.15%を得票した。昨年に立候補を宣言し、当時の世論調査では「最も大統領職に近い候補者」とも言われた。その後、極右の独立候補で元ジャーナリストのエリック・ゼムール氏の人気が浮上し、右派が分裂。一時は第1回投票で生き残ることも危ういと予想されたが、結果はマクロン氏を猛追する2位につけた。

第1回投票で最もダメージを受けたのは、左派のオランド前政権を支えた社会党のアンヌ・イダルゴ候補(パリ市長)で、得票率は1.75%と結党以来過去最低。歴代大統領を輩出した共和党のバレリー・ペクレス候補は4.78%で、これも結党以来最低を記録した。得票率が5%を下回ったため、国から選挙活動資金として与えられた供託金を没収され、両者・両党には莫大な借金だけが残った。

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