話題の完全栄養食「ベースフード」開発の紆余曲折 味はどうか、これさえ食べていればいいのか?

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パンのほか、パスタ、クッキーなどさまざまな種類を展開しているため、日常生活に取り入れやすい(撮影:梅谷秀司)

メインターゲットは一人暮らしなどで食生活が乱れやすい都市のビジネスパーソン。コンビニは重要な販売チャネルの1つだ。現在は専用の棚が設けられている店もある。もっとも、オンラインとコンビニを組み合わせた販売手法については最初から戦略的に行っていたわけではないという。

また、栄養管理アプリの「あすけん」や、移動するとポイントがたまるアプリ「Miles」などともコラボを行い、ポイントでベースフードがお得に購入できる仕組みも整備。商品の宣伝になるというだけでなく、これらのアプリが「誰もが簡単に健康でいられる世の中」という、同社の目的にも役立つためだそうだ。

というのも、橋本氏の頭には「大人の学校給食」という未来の構想がある。つまり、学校給食のおかげで、どんな家庭環境にある子どもも1食は栄養的に優れた食事を確保できる。同様に、1食をベースフードにすれば、どんなに忙しい人でも最低限必要な栄養をとることができる。パスタやクッキー、パンもシナモンやチョコ、カレーとバリエーションを増やしているのも、個々の食生活に合わせてうまく取り入れ、毎日続けてほしいとの意図だ。

ベースフードがいつでもどこでも、誰にでも手に入る状態を目指して、販売チャネルも拡大していくそうだ。現在、オンラインでの定期購入者は10万人。まずは100万人までを目指す。さらに1000万人にまで広がれば、人口の10分の1が1食は栄養的によい食事をとれていることになる、と夢を語る。「10万人までなら10年もかからずに達成できるのでは」と予想しているという。

男女ともに自分の食事として購入するビジネスパーソンが主だが、子どものおやつとしての需要も増えているそうだ。

「そんな商品は不可能だ」

このように、潜在需要も高く、実際市場が広がっている完全栄養食。それなのになぜ、これまで開発されなかったのだろうか。この疑問への答えがすなわち、同社の特徴を表していると言える。

橋本氏がベースフードの開発に取り組み始めた当初、誰からも「そんな商品は不可能だ」「できるのならばすでに存在しているはず」と言われ、相手にされなかったという。

現状に疑問を感じたとき、迷いなく打開の道を選ぶこと。これが、橋本氏や同社の姿勢であり、開拓者たらしめている点だ。

橋本氏はもともと、周囲の当たり前の物事に対し疑問を持つ性質があるという。

「すぐほどけるのに靴紐を使っているのはなぜか、テーブルやイスはなぜこの形でなければならないのか、ユーザーにとってもっと使いやすい形があるのではないか、ときりがありません。そうした数多くの疑問の中で、自分が関わって積極的に変えたいと思ったのが食事であり、ベースフードにつながっています」

「ユーザー目線」を本当の意味で実践するのは案外難しい。しかしあえて困難に挑戦する同社のような企業があるからこそ、世の中は変わっていくのだろう。そしてコロナで価値観が激変する今こそ、画期的な商品やサービスが生まれるチャンスと言えるのかもしれない。

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