狩猟・採集時代からの「脳のクセ」が左右--『ヒトはなぜ拍手をするのか』を書いた小林朋道氏(鳥取環境大学教授)に聞く

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 動物行動学、人間比較行動学は男性、女性の骨格それぞれの作りに踏み込んで、ヒトについて考えようとする。そこでは「進化的な適応」がキーワードになる。進化してきた環境にうまく適応できる骨格なり、動作なり、行動なり、さらに心理なりになっているはず、と判断する。そうでないと、今に至るまで環境変化に適応して生き続けていられなかったと考えられるからだ。

人類史の99%は狩猟・採集の生活だった。それに適応することで生き抜いてきた。男性は狩猟・採集作業に長けた個体、女性は出産・授乳がしやすい個体が多く生き残る。ある程度の修正は訓練で可能だが、骨格をはじめ男女差も確実にある。

──サングラス姿や「ポケットに手」が生意気に見える理由も関連するそうですね。

何となくそうだと思っていても、なぜと聞かれると、答えに詰まってしまうものでも、動物行動学で説明がつくものがけっこうある。それは、動物行動学には真実に近い仮説を生み出せる優れた羅針盤として、「進化的な適応」という考え方がベースにあるからだ。

狩猟・採集社会で有利な形質はどういうものか。そこからサングラス姿、「ポケットに手」が生意気に見える理由がわかってくる。

サングラス姿は表情を隠す。いわば「どうでもいいよ」という顔になる。これは、相手にエネルギーを使っていないことを示している。しかも、目には表情が出る。サングラスで目および目の周りの動きが受け取れなくなると、これも相手に対してエネルギーを使っていないサインになってくる。

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